2010年に奈良は平城遷都1300年目を迎えました。奈良はシルクロードの東の終着点でもあり、当時、大陸からさまざまな文化が伝わりました。料理もしかり。そこで、奈良から、西の終着点であるローマまでの陸のシルクロードをたどり、現在の和食のルーツをめぐる旅を、断続的に行ってきました。
上記は、陸のシルクロードのおおまかな地図です(シルクロードにはほかに、インドシナ半島やインド、中東を船でめぐってヨーロッパにたどり着く「海のシルクロード」もありました)。
奈良から朝鮮半島(百済)や、中国の長安(現在の西安)をたどり、ウイグルの楼蘭、ウルムチ、カシュガル、現ウズベキスタンのサマルカンドやブハラ(中間点となるこのあたりが、シルクロードの旅の中心地でしょうか)を通り、アフガニスタン、イラン、イラク、シリアを抜けて、1300年前は東ローマ帝国の首都だったコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)、そして(西)ローマ帝国の大都市ローマへと続きます。
東西文化の交易ルートの終着点だった当時の平城京は、唐(中国)や新羅(朝鮮半島南東部にあった国家)や、ペルシャ、インド、ベトナムからも外国人が渡来した国際都市だったといいます。ですので、大陸からもたらされた料理もあったであろうことはうかがい知れるところです。
というわけで、日本料理についてさらに深く知ることを目的にしたシルクロード各地をめぐる食の旅、ひとつのエリアで貴族の料理と庶民の料理を食べ分けてつづったそのリポートを、以下のようなシリーズでお届けします。
シルクロードの料理 目次
1 平城京の宮廷料理 奈良
2 日本最古の麺 奈良
3 朝鮮半島の冷麺
4 高麗王朝の宮廷料理
5 中国・瀋陽のコリアンタウン訪問記
6 中国の麺料理
7 西安・唐の宮廷料理
8 西安・庶民の伝統食
9 ウズベキスタンの食べ物
10 サマルカンド 旧貴族家庭の料理
11 ラグマン
12 韓国・ソウルのウズベキスタン人街