
オアシスで生まれたお好み焼き風料理
先日、サウジアラビアに行ってきました。今回はペルシャ湾に面した東部州のアル・アハサーへ。
ここは、ユネスコの世界文化遺産リストに登録されている世界最大のナツメヤシの茂るオアシスがあり、砂漠の多いサウジアラビアにおいて、古くから人々が伝統的な手工芸品を継承し、肥沃な土地と多様な産業を特徴とする自然環境の中で暮らす地域です。
そして傍らには、世界最大といわれるガワール油田も。
最大都市フフ―フにはアラビア半島でもっとも古いサウジ最大のスークや、中世から営まれる旅籠(ホテル)が現存しており、高価で有名な赤米や赤いパンなど、この地ならではの食材や素朴な人々がとても魅力的でした。


「モバサル」(アラビア語で「玉ねぎ」の意味)は、そんなアル・アハサーの郷土料理。大阪・関西万博のサウジアラビア・パビリオン内のレストランのメニューにもなっていました。
大阪のねぎ焼きやお好み焼きを彷彿とさせる、2種のねぎをたっぷり使って油で揚げ焼きした料理です。お好み焼きと同じく、家庭によってさまざまなバリエーションがあります。
サウジアラビアの面積は日本の約6倍と広く、13の州は首長州(states)と訳されることもあるように、それぞれ独自の食文化を持っています。
モバサルはおそらくアル・アハサーでしかほとんど知られていないローカルな料理だと思いますが(同じ東部州のアルコバールの人に聞いても知らなかった)、デーツ・シロップをつけて食べることがあるのも、まるでお好み焼き。
モバサルのほかにも揚げ物にデーツ入りソースをかけて食べる料理は、中東のイラクやシリア、トルコ南東部などに広く存在します。
デーツとスパイスを使った調味料はイギリス領時代にイギリスで「HPソース」として開発され、イラクなどに逆輸入されて、街の食堂のテーブルに置いてあるのを見たことがあります。イギリス製は高価なので、地元ブランドのHPソース風な商品もありました。
デーツ入りのソースは、油で揚げたり、焼いたりする料理によく合い、この地で長く愛されてきました。
デーツの一大収穫地でもあるアル・アハサーの料理モバサルにデーツ・シロップを塗ることがあるのも、その流れではないかと思っています。
ちなみに、「HPソース」をお手本に開発したと思われる、デーツを使った日本の「オタフクソース」がお好み焼きやたこ焼きによく合うのも納得できます。
ただし、ソースにだしの旨味成分を効かせているのは日本独自の発想で、正直いってHPソースやその派生商品よりもおいしいと思っていました。
それで、オタフクソースはきっと中東で流行るだろうと思っていたら、近年、実際にオタフクソースの中東への輸入が始まって大人気だと聞き、やっぱりね!と膝を打ったのを思い出します(笑)。
というわけで、デーツ・シロップがないときは、代わりにオタフクソースをモバサルに塗っても十分においしいので、ぜひお試しください。

モバサル Mobasal مبصل レシピ
【材料】
4人分
小麦粉 100g
全粒粉の小麦粉 50g
ベーキングパウダー 小さじ1/2
粉ミルク 大さじ1
塩 小さじ1/2
ターメリック 小さじ1/2
B
玉ねぎ 中1/2個(みじん切り)
青ねぎ 30g(みじん切り)
たまご 1個(割りほぐす)
温水 1/2カップ強
植物油 大さじ3
デーツ・シロップ お好みの量
【作り方】
1.ボウルにAを入れて混ぜ、温水を少しずつ加えてこねる。ラップをして15分以上休ませる。
2.ボウルにBを入れて混ぜ、さらに1に混ぜ入れる。
3.フライパンに植物油をひき、2を大さじ1.5~2くらい円形になるように入れ、片面ずつきつね色になるまで揚げる。
4.デーツ・シロップを皿に入れ、3の両面をすばやく浸す。刷毛で塗ってもよい。
・全粒粉の小麦粉が香ばしさを出しますが、なければ普通の白い小麦粉を分量分足して使ってください。
・ねぎも1種類しかない時は、どちらかを分量分足して使ってください。玉ねぎを優先させる方が、食感的においしいと思います。
・デーツ・シロップの代わりにレモンやライム汁をかけて食べることもあります。
モバサルの作り方手順(現地動画)
オリジナルである、サウジアラビア東部アル・アハサー地方でのモバサルの作り方の例です。


