船上の食事がもとになった家庭料理
スバールバル諸島は、北極圏にあるノルウェー領の群島。主島はスピッツベルゲン島で、人口は3000人弱。冬の最低気温はマイナス30度以下になることもあり、夏も平均気温は5度という冷涼な気候です。1920年のパリ会議で締結されたスバールバル条約により、 条約に署名した国の市民であれば、滞在するための居住許可や就労許可は必要ないとされ、日本も署名しているので、日本人がビザなしで移住して合法にラーメン屋が開けるごくまれな海外の地?として有名になったことがあります(笑)。
年間の3ヶ月間、太陽が姿を表さな極寒の地であるため、かつては食物が育たない不毛の地だといわれてきましたが、近年になって堆肥と温室で農業を行う人も現れています。
さて、野菜と肉のシチュー「ラップスケウス」は17世紀から伝えられるスバールバルやノルウェーの味。現地の家庭では残り物の肉や野菜で作るというイメージが強いようです。透明のスープで作ることもあれば、グレイビーソースで茶色っぽく作ることもあります(ここで紹介するのは透明バージョン)。
ドイツ北部が起源で、ドイツでは塩漬け肉またはコンビーフ、じゃがいもを煮た汁気のないスタイルで提供し、きゅうりのピクルス(ガーキン)、ビーツなどを添えたまったくの別スタイルです。北欧各地に他にもさまざまなバリエーションがあります。バイキングの国でもあったノルウェーですが、もともと船上で食べる食事として知られてきました。

ラップスケウス Lapskaus レシピ
【材料】
4人分
植物油 大さじ1
牛肉 400g(2.5cmに角切り。豚肉でもよい。現地では塩漬け肉の塩を抜いて使う)
ビーフストック 500ml<野菜類>
玉ねぎ(大)1/2個(皮をむいて1.5cmくらいに切る)
セロリの根またはパースニップ 75g(皮をむいて1.5cmくらいに切る)
にんじん 1本(皮をむいて1.5cmくらいに切る)
じゃがいも 大1個(皮をむいて1.5cmくらいに切る)
リーキ(またはねぎ)1/2本 (薄切り)パセリ 少々(みじん切り。トッピング用)
【作り方】
1.フライパンにバターと植物油を加えて熱し、牛肉の両面を色が変わるまで焼く。鍋に牛肉を入れ、ビーフストックを追加する。 沸騰したら火を弱め、蓋をして1時間煮る。
2.鍋に野菜類を入れ、中火で沸騰させて 蓋をせずに20分間調理し、 塩こしょうで味を調える。お皿に盛り、パセリを飾る。