レバノン共和国 Republic of Lebanon | 中東
中東でもっとも洗練された料理
イラクやヨルダン、シリアとともに、中東で最初の偉大な文明が生まれた「肥沃な三日月地帯」に位置するレバノンは、面積は1万平方キロ強と小さいながらも、アラブの中では唯一、砂漠のない国。
イスラム教徒のほかキリスト教徒も多く住むレバノンには、かつての宗主国フランスの影響が今も残り、内戦前は”中東のパリ”と呼ばれた首都ベイルートに象徴されるように、アラブ諸国の中では西洋的だった国です。
↑ファテット・フムス
「美食の国フランスの植民地だった地域には、グルメな国が多い」という仮説(?)があります。レバノンもしかりで、羊肉や香辛料を多用したボリュームのある食事が多い中東諸国の中で、野菜や豆を多用した、さっぱりとして繊細な料理の数々は、他国とはひと味違った洗練されたもの。中東料理で随一のおいしさとという人もいます。
現在のトルコ料理のいくつかの要素は、かつてオスマントルコがレバノンの地を支配していたときに持って行かれたものという認識から、「世界三大料理は、フランス料理、中華料理のほかはトルコ料理ではなく、レバノン料理だ」と、胸を張るレバノン人もいるほどです。
地中海諸国の食卓に欠かせないものといえば、マザ(地域によってメゼ、メッザ等とも)と呼ばれる前菜。レバノンにも、フムス(ひよこ豆のペースト)やファテット・フムス(ペーストにする前にフムス。上写真)、ババガヌーシュ(なすのペースト)、タブーリ(パセリのサラダ)、ラブネー(ヨーグルトクリームチーズ)、キッベ(挽き割り小麦とひき肉をだんご状にして揚げたスナック)など100種以上ものマザのメニューがあります。これらは通常、温かいピタパンにはさんでいただきます。
これらマザの料理は、シリアやトルコなどにもあるのですが、1970年代のレバノン内戦を避けてヨーロッパや南米、オーストラリア等に移住した多数のレバノン人によって、世界的に広まりました。
たとえば、キッベは、今ではブラジルでも人気のスナックとなっています。
ほかにレバノンには、アラブ諸国でよく食べられているシャワルマ(回し焼き肉)やファラフェル、アラヤー、マナイーシュ、ケチャックといったピザ風の料理などがあります。
レバノンのワインについて
また、レバノンといえば、ワインの生産についても重要項目です。
キリスト教徒の多いレバノンのワイン造りの歴史は古く、現在のレバノン人の祖先に当たるフェニキア人によって造られていました。紀元前8世紀ごろには、旧約聖書の中で予言者によってレバノンワインが推賞されていた話も伝わる、世界最古のワイン産地のひとつなのです。フランスの影響を受けた現在のレバノンワインは、内戦の終結した1990年代以降、世界的に評価されるワインも登場しはじめています。
レバノン料理の写真
レバノンのマザ(前菜)。右上から時計回りで、フムス、ババガヌーシュ、タブーリ。
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マナイーシュ (ハーブの薄焼きピザ) |
ケチャック (ヨーグルトのピザ。ひき肉入り) |
キッベ |
レバノン料理のレシピ

