バチカン市国 State of the City of Vatican ｜ ヨーロッパ
カトリックの総本山の食文化
↑ホスチア
さて、ではバチカンに暮らす枢機卿や司祭、修道女の方々はどんな食事を召し上がっているのでしょう。
世界には、食事について戒律を持つ宗教が少なくありません。たとえば、アルコールを避け、豚肉を食べず、決まった月に断食（ラマダン）を行うイスラム教や、お祈りをささげたコーシャの戒律に則った食事をするユダヤ教、また、牛肉を食べないヒンドゥー教など。
カトリック教にもかつては食物の戒律がありました。ところが1962年から65年にかけて行われた第２回バチカン公会議で、カトリック教はその姿勢を大きく転換させ、現在では食事に関する戒律は自分の意思で守るということになり、タブーがほとんどなくなりました。
またかつて行っていた、復活祭やクリスマス前などの肉断食も個人の信仰心に任せるようになりましたが、クリスマス前に肉の代わりに川魚の鯉を食べるチェコやポーランドなど、昔の戒律が土地の風習として残っている地域もあります。
世界の各地に住む神父様や修道女の方々は現在、その土地の料理とお酒を飲食し、バチカンなら、さしずめイタリア料理やワインを食していると考えられます。バチカン美術館の地下には、旅行者がバチカン国内で食事できる数少ない食堂があり、焼きたてのピッツァが食べられます。ローマ教皇庁の御用達の焼き窯は、ローマにあるバンコッティ社製のものです。
もちろん、キリストの血肉といわれるパンとワインは、今も昔もカトリックの聖体拝領＝ミサに欠かせない食物。ミサにはホスチア（種なしパン 上写真）を使用し、ワインはミサ用ワインを用います。
1888年のバチカン博覧会で金賞を受賞した”ヴィノ・デ・ミサ”（Vino de Misa）というワインは、歴代のローマ教皇が使用してきたもので、「ローマ法王庁の紋章である三王冠と天国の鍵を、ラベルに使用することを許された唯一のワイン」。グルナッシュとカリニャン品種のぶどうを使った甘い味わいで、現在60ヶ国の教会や修道院で用いられており、もちろんカトリック教徒でなくても購入可能です。
ただ、ミサには普通の市販のワインを使うこともあります。トスカーナ州キャンティ地方のロピアーノ修道院で作られている完全有機栽培のワイン”キャンティ・ロピアーノ”なども、バチカン御用達のワインです。
バチカン料理のレシピ
