ゴア料理

ゴア

ポルトガル人がもたらした食材と料理

西インドと南インドの境界あたりのアラビア海沿岸にあるゴア州は、16世紀初め頃までのイスラーム王朝・ビジャープル王国の一部として栄え、1510年にポルトガルによって奪い取られた後、1961年にいたるまでのおよそ450年間、ポルトガルの植民地として、インドの中では異色の歴史をたどり、1987年にインド連邦直轄領から、州になりました。

ゴアフィッシュカレーポークビンダルー
↑ゴア・フィッシュ・カレー↑ポーク・ビンダルー

以降、州都パナジの公園内にあったバスコ・ダ・ガマの銅像が撤去され、オベリスクに差し替えられるなど、ポルトガルらしさが少しずつ消えゆく風でもありますが、街並みや信仰、食文化にはいまだにポルトガルの影響が見え隠れしています。1552年にこの地で世を去ったスペインの宣教師フランシスコ・ザビエルが眠るボム・ジェズ・バシリカ教会(周辺の聖フランシス修道院ともに世界遺産に登録されている)のミサには、インド人のカトリック教徒が今も大勢、訪れています。

料理にもポルトガルの影響が見られます。主食は米で、土地で採れる新鮮な魚介やココナツ、スパイスをベースにしながら、土地のキリスト教徒には豚肉も牛肉にもタブーがありません。またヒンドゥー教徒の間でも、ポルトガル人が持ち込んだトマトやじゃがいも、カシューナッツ、そして多量のとうがらしを料理に使う点など、影響を受けています。

ゴアの代表的な料理は、魚とココナツ、タマリンド、スパイスを煮込んだゴア・フィッシュカレー(魚はまながつおを使うことが多い)、豚肉とビネガー、とうがらし&スパイスを煮込んだポーク・ビンダルー(ビンダルーとは、にんにく風味のワインビネガーにマリネするの意味)、スパイシーなソーセージのチョリソや、ソーセージと内臓の煮込み料理ソル・ポテル、ブラジル料理としても有名な豆シチューのフェイジョアーダなどです。

また、ゴアではキリスト教の影響でアルコールがタブーでないことと、法律で酒税がかからず安く買えるため、一般的なインドの街では裏通りにこっそりとある酒屋が、大通りに軒を連ねています。インド各地から安くて種類豊富なお酒を買いに来る人も多いようです。ゴアはポルトガルの影響で、地元で醸造したさまざまな銘柄の甘口の葡萄酒ポートワイン(本来は”ポート”と名乗ってはいけないのですが)が売られています。


↑ゴアのポートワイン

筆者紹介
青木 ゆり子

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、調理師のためのハラール研修有識者会議委員(厚生労働省国庫補助事業)、全日本司厨士協会&WORLDCHEFS会員、世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー(私設)館長。

雑誌記者等を経て、2000年に世界の料理 総合情報サイトe-food.jpを創設。エッセイスト、レシピ開発者、講師、シェフ等として活動。世界各地で取材した郷土料理の魅力を広め、食を通じた国際理解の啓蒙を目指す。

■著書:「日本的洋食」(中国語。健行文化 2019)
「日本の洋食~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房 2018)
「しらべよう!世界の料理」全7巻(図書館選定図書 ポプラ社 2017)

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