オーストリア共和国 Republic of Austria | ヨーロッパ
ヨーロッパ中央部に位置した国の地方色豊かな食べ物
モーツァルトの生まれ故郷、音楽の都ウィーン、そして、女帝マリア・テレジアや皇妃エリザベートらが名を飾り、中世から20世紀初頭までにバルカン半島などまで勢力を伸ばしたハプスブルク王朝…。オーストリアというと、こんな華やかなイメージをいだいてしまいますが、この国の料理はどのようなものなのでしょうか。



オーストリアは、ドイツ、イタリア、スイス、ハンガリー、チェコと国境を接し、ヨーロッパのちょうど真ん中あたりに位置する国。面積は日本の北海道くらいでありながら、東アルプス山脈やカルパチア山脈などによって起伏があり、地方色もなかなか豊かです。
代表的なのは、首都のあるウィーン地方の料理。オーストリア料理、イコール、ウィーン料理といわれることもあるようです。よく知られているのが、ウィーン風カツレツ=ウィンナー(ヴィーナー)・シュニッツェル(上写真)。牛肉や豚肉を叩いて伸ばして揚げたもので、日本のとんかつの元祖といわれる料理です(東京・上野に今もあるとんかつ店「本家ポン多」の先代が、明治時代の頃、ウィンナー・シュニッツェルをヒントに考案したといわれています)。
ウィンナー・シュニッツェルの原型は、イタリアからもたらされた、またはウィーンにもともとあった鶏肉のフライ「バックヘンデル」が元になったなど諸説あります。
ちなみに、その名もウィンナー(・ソーセージ)は、ウィーンには存在せず、フランクフルト・ソーセージと呼ばれているとか(?)。
ほかに、たまねぎを添えたロースト肉のウィンナー・ロストブラーテンというウィーンの料理も。お菓子では、ホテル・ザッハーのカフェの名物でもあるザッハトルテが、あまりにも有名です。日本にもハプスブルク王室御用達だったオーストリアの名門菓子店デメルが進出していて、ザッハトルテをはじめとする本場のウィーン菓子を買うことができます。
モーツァルトの生まれ故郷で、ミュージカル 「サウンド・オブ・ミュージック」 の舞台としても知られるザルツブルク地方では、ピンツガウアー・ノッケンと呼ばれる郷土料理があります。これは、じゃがいもと小麦粉をこねて、パスタのように切り、ベーコンと炒めて、ザワークラウトを添えたもの。ドイツ南部の料理とよく似ています。
また、この地方では、川魚のマスやナマズの料理も。そして、”モーツァルトの目玉チョコ”の異名を持つ?モーツァルト・クーゲルン(いろいろなメーカーがあって、地元の人いわく、おいしいメーカーと、そうでないものがあるそう)や、「サウンド・オブ・ミュージック」のヒロイン、マリアが”マイ・フェイヴァレット・シングス”というナンバーでお気に入りとして歌うアプフェル・シュトゥルーデルも、ザルツブルクを訪れた観光客のマストアイテム。
また、日本では刺繍や、その名もチロリアンというお菓子で知られる、美しい山岳の連なるチロル地方では、豚のローストのシュヴァイネブラーテンのほか、クネーデル(クヌーデル)やザワークラウト、カイザーシュマレンなど、国境の近いドイツ南部と共通する料理が少なくありません。
ほかに、ハンガリーに近いブルゲンラント地方は、ハンガリーの魚スープのハラースレーや、プーテンシュニッツェル・チゴイナー・アルト(ジプシー風七面鳥のスライスソテー)など、ハンガリーと共通する料理が見られます。同じく、イタリアに近いケルンテン地方の名物は、ニョッキのようなケルントナー・カースヌーデルン、スイスと隣接するフォアアールベルク地方の名物は、ボーデン湖でとれるマスの料理フェルヘン・ナーハ・プレゲンツァー・アルト…と、多くの国と連なる内陸国ならではのバラエティな料理が楽しめます。
オーストリア料理のレシピ

