Rome, Lazio -Italy
羊料理・羊のチーズが豊富

たとえば、ニョッキ。ローマでは木曜日に、ミートソースやバジリコ風味のトマトソースを和えたじゃがいものニョッキを食べる習慣があるといいますが、このニョッキも南北どちらに属するかはっきりしない料理。ただし、セモリナ粉にじゃがいもを加えないローマ風ニョッキという、独自のニョッキもあります。
ローマには、古代からの伝統的な固有の農家や、羊飼いたちの民衆料理(ラツィオ州はサルデーニャに次いでイタリアで2番目に羊の数が多い)が今も色濃く残っています。
現地でアバッキオと呼ばれる乳飲み仔羊のオーブン焼きや、ポルケッタ(子豚の丸焼き。発祥は隣のウンブリア州といわれる)、また、サルティンボッカ(上写真。Saltimbocca=「口に飛び込む」の意味)という、仔牛肉の薄切りに生ハムの薄切りを乗せてセージで香りづけし、バターで炒めてから白ワインにひたして煮た料理といった肉料理が定番。
野菜料理には、カルチョフィ・アッラ・ジューディア(ユダヤ人のゲットーで生まれたという、アーティチョークのフライ)や、アーティチョークをゆでてパン粉やにんにく、酢、ミントを芯に詰めて焼いたカルチョフィ・アル・テガーメ・アッラ・ロマーナなどがあります。
ローマ料理は一般に塩味が濃く、たくさんの量をテーブルに並べるシンプルで気取らないスタイルが特徴的です。
チーズは、ペコリーノ・ロマーナ(羊乳の硬い辛口チーズ)、リコッタ・ロマーナ(羊乳のやわらかいフレッシュチーズ)などがよく食べられています。
また、ワインは、ラツィオ州モンテフィアスコーネの甘口の白ワイン「エスト!エスト!エスト!」が有名。味については賛否がありますが、このワインには、12世紀初頭、ヨナネス・デフィク司祭が部下に、「最高の酒蔵を見つけたら扉に”エスト”(ある)と書き記せ」と命令し、部下が見つけた酒蔵のあまりのおいしさに、3度もエストと書いたという由来が残っており、それによって知名度を上げたといいます。
ワインのほかには、サンブーカというアニスの香りのするリキュールも、ラツィオ州では食後によく飲まれています。