グレートブリテン及び北アイルランド連合王国 United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland | ヨーロッパ
新鮮な食材に恵まれた国

↑ロースト・ビーフ


ロンドン塔の衛兵隊ヨーマン・ウォーダーズのことを「ビーフィーター(牛食い)」ともいいますが、これはかつて彼らに支払われていた給金の一部に、当時は高貴な者しか食べられなかった牛肉が含まれていたことから名づけられたといいます。今でも牛肉はイギリスの食文化にもっとも不可欠な食材のひとつであり、ロースト・ビーフ(上写真)はイギリスを代表する料理です。
また、ベーコンや目玉焼き、マッシュルームなどを添えたたっぷりの朝食フル・イングリッシュ・ブレックファストもイギリスならではのもの。豊かな食材をシンプルに調理したイギリス料理の魅力、おいしさは、街中のパブやレストランよりも、各家庭で作られる料理を味わうことで実感できるはずです。
さらに、かつての植民地インドから今も良質のスパイスが入ることから、インド料理のおいしさは昔から格別ですし、近年はロンドンにもイギリス出身のゴードン・ラムゼイのようなスターシェフのミシュラン3つ星レストランが複数登場しました。「まずい」という汚名もすでに返上できたように感じます。
イギリスの地方料理
イギリスは、正式名を”連合王国”というくらいですから、もともと独立国イングランドやスコットランド、ウェールズなど、各地域によって食文化も違います。同じイングランドの中でも東西南北のエリアで料理の特色が異なります。
イングランド東部
大学で有名なイングランド東部のケンブリッジでは、野鴨やガチョウのロースト、ハムやベーコンが定番料理。フィジェット・パイという、リンゴとタマネギを交互に重ねたパイが名物です。ロンドンからドーヴァー海峡に向かった南部では、魚が豊富。ドーヴァー海峡でとれる”ドーヴァーソール”(舌ビラメ)が特に有名です。
イングランド西部
西部のコーンウォール州あたりは酪農が盛んです。スコーンに欠かせない濃厚なクローテッド・クリームの産地で、チェダーチーズで有名な都市チェダーがあるのも、このエリアです。さらに北部では、羊の放牧が盛んで、ラムまたはマトンにたまねぎやじゃがいもを何層にも重ねて焼いたランカシャー・ポットという名物料理があります。海岸沿いでは漁業も盛んで、イギリス料理としてよく知られるフィッシュ・アンド・チップスや、ロースト・ビーフの付け合せでもあるヨークシャー・プディングは、この地方で誕生したともいわれます。
コーンウォールのマウゼル村では、郷土の勇者を称えて12月23日にスターゲイジー・パイ(星を見つめるパイ 下写真)を食べる習わしがあります。このパイはイギリスで出版された本の中にも登場したことがありました。
ウェールズ、スコットランド、北アイルランド
ウェールズでは、羊の放牧と、乳牛の飼育が盛んで、チーズを使った料理がいろいろあります。ウェールズの象徴でもあるリーキ(ねぎ)を入れた牛肉と野菜のスープのカウルや、ウェルシュ・ラビットが郷土料理として知られています。
また、ケルト民族の地・スコットランドは、世界のグルメをうならせる、スモークサーモンとアンガス・ビーフの産地。アンガスのロースト・ビーフなどは最高です。羊の内臓にオートミールを混ぜ、羊の胃袋に入れて煮込んだハギスが郷土料理としてよく知られています。
アイルランド共和国と地続きの北アイルランドは、スコットランドと同じケルト民族の土地で、かのギネスビールを使ったビーフのギネス・シチューや、羊肉とじゃがいも、玉ねぎを煮込んだ素朴なアイリッシュ・シチューなどが定番です。
イギリスのお菓子
スコーンは、イギリス式ティータイムには欠かせないお菓子。真ん中から二つに割ってクロテッド・クリーム(ジャージー種の乳牛の乳脂肪分の高いクリーム)やジャムを塗って食べるのがポピュラーだといいます。
イギリスのお菓子は文句なしにおいしいものが多いです。代表的なのはパイやプディング類(前者はアップル・パイやレモン・メレンゲ・パイ、後者はマーマレード・プディングやクリスマス・プディングが有名)。
濃い牛乳で作ったアイスクリーム、新鮮なベリーなどの果物で作ったジャムも美味です。パイやプディングには、肉などを使った料理もあります。
イギリス料理の写真
スターゲイジー・パイ
イギリス料理のレシピ



