ペルシャン・ダルビッシュ|イラン料理|東池袋
[ イラン料理 ]

芸術の香り高いペルシャ料理店
【東池袋】都電荒川線・雑司ヶ谷駅に近い東通り商店街の中にあるイラン(ペルシャ)料理店。サッカーの国際試合などでたびたび国歌斉唱を務めているペルシャ古典楽器の奏者・歌手ハミッドさんのお店です。
ペルシャ絨毯を敷きつめ、シーシャ(水タバコ)や楽器の置かれたほの暗いフロア。靴を脱いで食事をする、日本人にはくつろげるチャイハネ・スタイルの店内では、おいしくて手ごろな値段のイラン料理と、格調高いペルシャ古典音楽のライブを毎晩、楽しむことができます(チャージ無料)。
今回は約20人のグループで貸切に。日本語も達者なハミッドさんの演奏に加えて、ペルシャ舞踊のライブも楽しませていただきました。もちろん、楽器や踊りについての解説もうかがえます。
上写真は特別に作っていただいた、マヒチェという羊のすね肉を魚に見立てたお料理。一頭の羊から2本しか取れない貴重なすね肉を時間をかけてやわらかく煮込み、イランの香草(サブジィ)と一緒に炊きこんだご飯(バスモティ米=長粒米)の上に乗せた、ステキなおもてなし料理でした。


左写真はレンズ豆のスープ。リムというイラン産のすだちのようなかんきつ類を加えていただく。すべての料理に共通しているのだが、スパイスはほとんど使われず、また脂っこくもない、何ともヘルシーでやさしい味わいだ。右写真は珍しいイランの白チーズ盛り合わせ。3種の味で。


左写真はじゃがいもをつぶして作ったオリビエサラダ。右写真は彩りも美しいシラーズサラダ。シラーズはイラン南西部にある古都で、ワイン用ぶどう品種シラーズの原産地でもある。なおこちらのお店では、イラン出身者がオーストラリアに移住して、シラーズの古式製法で作ったというシラーズワインも飲める。イランだからお酒は置いていないのかな、と思っていたが、他にビールなどアルコール類のメニューもある(昔はお酒OKなのでしたね)。

ペルシャスタイルの薄手のナンと、にんにくを何と8年間も酢漬けして真っ黒になった貴重な調味料。後者は先のマヒチェと一緒にいただく。


「ペルシャン・ダルビッシュ」の定番・ジュジェケバブ(鶏のケバブ)。バスモティ米のご飯の上に乗せて供される。通常のコース料理は3000円?。
右写真は、ピアノの原型になったという弦楽器を演奏中の店主のハミッドさん。ペルシャ古典楽器の演奏者は本国イランにも今や少ないのだそう。こちらのお店で、ダルビッシュたちの時代から続くペルシャ芸術の伝統を多くの人に伝えたいと語る。
ところで店名の"ダルビッシュ"とは...。最初は、お父さんがイラン出身のプロ野球・日本ハムファイターズのダルビッシュ有(イランでポピュラーな名前"アリ"とも呼べるからこの名らしい)投手の人気あやかって?、なんて思い違いをしていたのですが(汗)、実際はまるで関係なく、ペルシャがゾロアスター教の国だった頃から続く、音楽・舞踏とともに修行をしたり、教えを説いて各地を吟遊する集団にちなんでなのだそうです。
かのロックバンド・クイーンのリーダーだった故フレディ・マーキュリーも信者だったという、古い歴史を持つゾロアスター教は日本では拝火教とも呼ばれていますね。
2007年7月の創業以来、お店には何度か通わせていただいたのですが、同じチャイハネのフロアでライブを行なうイラン料理レストランでも、日暮里の「ざくろ」とはいい意味で正反対だなぁ、と訪問するたびに思います。イラン人はみなハイテンションで、おやじギャグ好きではないのです(笑)。もっとも、もてなし心を大切にする気質は、両者とも変わりないのですが...。
「ペルシャン・ダルビッシュ」は、温和で謙虚、いかにも文化人らしいハミッドさんの個性がしっかりと反映された店。"芸術を愛する大人の隠れ家"とでもいいましょうか。中国よりも、インドよりも古い、7000年の歴史を持つ国ペルシャの奥深さが垣間見られるはずですよ。
個人的にも、大切に付き合っていきたいお店のひとつです。
参照
→イラン(ペルシャ)料理について

ペルシャン・ダルビッシュ
東京都豊島区南池袋2-4-3 南池袋ビル1F
Tel. 03-6423-1233
■営業時間 Open: 17:00-23:00
■定休日 Close: 無休

e-food.jp代表、郷土料理研究家、コラムニスト。主な著書:『見て、読んで楽しむ 世界の料理365日』(自由国民社 2024)、図鑑NEOまどあけずかん『せかいのりょうり』監修(小学館 2021)、(誠文堂新光社 2020)、『しらべよう!世界の料理』全7巻(図書館選定図書・ポプラ社 2017)。
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