(閉店)ラザロ|マカオ&ポルトガル料理|恵比寿
[ ポルトガル料理 ]
多文化が混ざり合うマカオ料理
※閉店しました
【恵比寿】2009年12月にオープンした、マカオ料理とポルトガル料理のレストラン。マカオ料理とはっきり銘打って実質も伴っているお店は、こちらが本邦初ではないかと思います。
もっとも、日本で最初のポルトガル料理レストランである渋谷の「マヌエル」も、開店当初、シェフはマカオのポルトガル料理店で実績を積んだ方だととうかがったことがあります(そしてマカオ風な料理も多少、メニューに載っていた記憶が)。長崎は別として、マカオは、日本に一番近い「ポルトガル」ということでしょうか。
さて、16世紀(完全に植民地になったのは19世紀)から長い間ポルトガル領だったマカオは、1999年12月についにポルトガルから中国に返還されました。そして返還から今やもう10年経つわけですが、香港の影に隠れてややうらぶれていた街並みは、中国政府によりすっかり変貌させられ、今や東洋随一を誇るラスベガスようなカジノの街になったのは周知の通りです。2010年3月28日からは、いよいよ澳門航空の成田―マカオ間の直行便も就航。で、それに合わせて、というわけではなかったようなのですが、こちらのお店の開店はタイムリーでした。
およそ20年間、マカオと日本を往来してきたという日本人シェフが腕を振るう料理は、カリーハイ(カニカレー)950円やアフリカンチキン780円、エッグタルト1個250円など、マカオのおなじみの味。ほかにシーフードカタプラーナ980円やバカリャウ(干タラ)のコロッケなどポルトガル料理もあります。全体的にお手ごろ価格。ランチも750円?と、これまたお手ごろです。
アフリカンチキンと、長い航海に欠かせない保存食だった、ポルトガル料理でもおなじみのバカリャウ(干タラ)を使ったマカオサラダ。
デザートのセラドゥーラ450円と、ポルトガルのビール"SUPER BOCK"。ポルトガルワインもそろっている。異国情緒のある店内はこじんまりとしていて、少人数のグループにおすすめ。
渡りガニを使い、タイのプーパッポンカリーと似ているけれど味付けの少し違う(しかしルーツはたぶん一緒)カレー炒めであるカリーハイは、大航海時代に、ヨーロッパからアフリカの喜望峰、インド、インドシナ半島およびマレー半島経由で中国にやってきたポルトガル人が伝えたことが容易に想像できる、歴史好きにはとりわけ興味深い一品。スパイス航路の拠点であり、多文化が混ざり合うマカオらしい料理といえるでしょう。アフリカ風なワイルドな肉を、トマトソースとピリ辛スパイスで味付けしたアフリカンチキンも同様です。どちらも日本人にもなじみやすい味で、おいしくいただけるはずですよ。
以下は余談ですが、インドシナ半島からマカオへ向かう途中に別れて、太平洋上の現インドネシアの外れにあるチモール島に向かったポルトガル人もいました。現在は独立国である東チモールも、マカオと同様に何世紀にもわたってポルトガル領でした。マカオや東チモールをはじめ、アフリカのアンゴラやモザンビーク、インドのゴア、そしてブラジルなどなど、世界各地を制覇した大航海時代のポルトガル人の拠点のよすがを残す場所は、あちこちにけっこうありますね(そういったポルトガル旧植民地の、多文化がミックスした料理をまとめた、「CUISINE OF PORTUGESE ENCOUNTERS」というおもしろいレシピ本(英語)も発売されています)。
さて、話を戻して、こちらのお店のフロアには、ポルトガルらしいアズレージョ・タイルも。また 現在は、カジノよろしくルーレットのゲームでボトルワインが当たるキャンペーンも行なっていました。まさにマカオらしさが堪能できる(笑)お店です。
ラザロ
東京都渋谷区恵比寿西1-9-6 WESTCOビルB1F
■営業時間 Open: 11:30-14:00(14:30LO)、17:30-22:30(23:30LO)
■定休日 Close: 日

e-food.jp代表、郷土料理研究家、コラムニスト。主な著書:『見て、読んで楽しむ 世界の料理365日』(自由国民社 2024)、図鑑NEOまどあけずかん『せかいのりょうり』監修(小学館 2021)、(誠文堂新光社 2020)、『しらべよう!世界の料理』全7巻(図書館選定図書・ポプラ社 2017)。
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