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2009年01月28日

フランソワ・ガニェール?フードフランス|オーベルニュ地方

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しゃれた遊び心いっぱいの料理

【銀座】アラン・デュカス氏のレストラン「ベージュ」で2009年1月22日から27日まで開催されたフードフランス08-09の第6弾、フランソワ・ガニェール氏(オーベルニュ地方)のランチをいただいてきました。

フランスの中央部オーベルニュにある、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の開始点のひとつとして世界遺産にも登録されている、故郷ル・ピュイ・アン・ヴレに自分の名前を冠したレストランを構えるガニェールさん。あら、もしかしたら、かの巨匠ピエール・ガニェール氏のご親戚?などと一瞬、思ったのですが、どうやら血縁関係はないよう。しかし、実際にP.ガニェール氏の店で修行をしたことがあるそうです。

さて、お料理の方は、ご本人いわく、オーベルニュの郷土料理とはちょっと違う、モダンなオリジナルなのだそうですが、アミューズにオーベルニュ特産の小粒レンズ豆を使うなど(上写真)、故郷への愛情がうかがえます。お皿をパレットに、自由な遊び心いっぱい、意外な食材の組み合わせの妙と、地方のレストランとは思えないしゃれたセンスに脱帽しました。

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もうひとつのアミューズ、クリスピーなシリアル入りの冷製豆乳スープ(トッピングに何と日本の海苔を使用。来日メニューのためにわざわざなのかなと思い、あとでシェフに聞いたら、フランスの自分のレストランでも使っているのだそう。フランス人にとってエキゾチックな味わいを取り入れるこのあたりのセンスは、P.ガニェール氏から学んだものだろうか)と、真鰯、ボワット、クルスティアン、レモン風味のヴィネグレット、タブーレとトマトのジュレ。後者の真鰯は、缶詰に見立てた遊び心満点の一品で、びっくり楽しくおいしい気分にさせてくれた。

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かわいらしいパンと、卵の"フロレンティーヌ"、牡蠣のポシェ、雲丹のビスク。フワフワの白身卵のムースに黄身とウニの取り合わせがニクい。

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メインの地鶏のロースト、燻茶の香り、季節の茸とカルナローニ米のリゾット(左写真)。イタリア食材をさりげなく使う、F.ガニェール・シェフのオリジナリティあふれる料理。右写真は仔牛のロースト、レモンとノワゼットのファルシ、ジャガイモのピュレ(本来はディナーのメニューを特別に)。ひき肉を詰めたイカに、抹茶、食感を楽しむためのジャガイモのピュレ(別皿)の添え物が仔牛のローストを引き立てる。ここでもシェフの感性による、意外な食材のハーモニーが光っていた。

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そしてデセールのヴレ産ヴェルヴェーヌ(これもオーベルニュの特産)のティラミス、カカオの"エブリフュール"とミニャルディーズ(小菓子)。最後まで美しい色彩のお料理、デザートに感激!


今年のフードフランスも今のところだいたい皆勤賞なのですが(笑)、今回のガニェール・シェフのお料理は、とりわけ味わいも美しさも格別でした。

オーベルニュというと、池袋にあるオーベルニュの郷土料理専門のビストロ「ラ・プール・オ・ポ」で提供されるような、田舎風のたっぷりした肉料理を当初は想像していましたが、まさに別世界のような繊細な料理(オーベルニュには海がないのにシーフードをたくさん使っていますし、ね)。ル・ピュイ・アン・ヴレを訪れる多くのビジターに楽しんでもらえるような、アーティスティックなフレンチといったところでしょうか。


ベージュ BEIGE TOKYO
東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング10F
Tel. 03-5159-5500
http://www.beige-tokyo.com/

■営業時間:11:30-14:30(LO)、18:00-21:30(LO) 閉店23:30
■定休日:月



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profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

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