ビサン|パレスチナ料理|十条
[ パレスチナ料理 ]

日本人になじみやすいアラブ料理
【十条】2011年1月に十条中央通商店街(演芸場通り商店街)にオープンした、こじんまりとした中東・パレスチナ料理の店。パレスチナ人シェフのマンスール・スドゥキさんが腕を振るいます。
西川口の「グリーングラス」と、神田の「アルミーナ」、そして十条のこちらのお店で、現在、首都圏にはパレスチナ料理店が3軒...。ニューヨーク、パリに勝るとも劣らぬほど、東京の各国料理レストランのバラエティさ・地方ごとの細密さは、ますますスゴいことになっています(笑)。

さて、お料理の方は、メニューにはボリュームたっぷりのマンサフ(上写真。"パレスチナ・チャーハン"とお店では説明。スパイスとソースがどこかケバブ風味)1000円やケバブ類、ホンモス(ひよこ豆のペースト)やムタッバラ(ナスのオーブン焼き)...といったアラブ料理の定番がズラリ。
マイルドな味わいのアラブ料理は日本人に意外となじみやすいと思うのですが、こちらでは明太子パスタのようなさらに日本人受けしそうなオリジナルメニューが用意されていて、アラブ料理初挑戦の方でも敷居が低くて、緊張感がほぐれるかも?
ソフトドリンクは普通の日本のカフェ等のメニューと変わらないのですが、パレスチナのタイベビール、パレスチナ産ワインといった現地のお酒メニューがなかなか充実していて、さらにパレスチナの旗や地図、故アラファト議長の写真(上写真)などが飾られているところ等が、パレスチナなムードをさらに盛り上げてくれるはずです(笑)。ほかにシーシャ(水たばこ)のサービスや週2日のベリーダンス・ショーも。


アラブの定番家庭料理ムタッバラ(ナスのオーブン焼き)750円と、ホンモス・マ・ラッハマ(ひよこ豆のペーストの焼きレバー乗せ)1100円。前者はトルコ料理店などでけっこうおなじみになったメニューだが、後者は日本ではなかなか見かけない珍しい料理。コク味のあるホンモスと、マイルドなスパイスの味付きレバーの組み合わせがとてもおいしい。両者ともピタパンにつけていただけば、ちょっとした食事に。


パーミヤ(オクラのトマト煮込み+ごはん)1300円と、デザートのバクラワ300円。前者もパレスチナの定番料理で、ピリ辛く、たっぷり入ったオクラのネバネバ感がいかにも体によさそう。デザートはほかに、スドゥキさんの好みでチョコレートのお菓子が充実。コーヒーやお茶は残念ながらアラブ式ではない。


まだ20代と若くて男前、気さくなお兄さんという感じのオーナーシェフのスドゥキさん。小さいながらも"城"である自分のお店を持つようになり、張り切っておられる様子がわかる。
古くからある日本の商店街の中で、ひときわ目立つ店構え(右写真)。看板もフロア装飾もすべて手作りだという。オーナーの愛着あふれるお店なのだ。
店名の「ビサン(Bisan)」は、パレスチナの地名とのこと。来日6年目で日本語も堪能なスドゥキさんとは別のパレスチナ料理店で顔なじみだったのですが、今はご自分のお店を持たれて、とてもうれしそう。
大衆演劇を上演する近所の篠原演芸場の年配のお客さんがときどき立ち寄られたり、周囲から異彩を放つ(?)物珍しさゆえか、すでに常連さんも少なからずおられるとか。東京・下町の昔ながらの商店街に溶け込み、人情あふれる地元らしさをすでに満喫されているようでした。
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ビサン Bisan
東京都北区中十条2-21-1
Tel. 03-5948-5711
http://www.bisan.biz
■営業時間:12:00-14:30、17:30-翌1:30
■定休日:水

e-food.jp代表、郷土料理研究家、コラムニスト。主な著書:『見て、読んで楽しむ 世界の料理365日』(自由国民社 2024)、図鑑NEOまどあけずかん『せかいのりょうり』監修(小学館 2021)、(誠文堂新光社 2020)、『しらべよう!世界の料理』全7巻(図書館選定図書・ポプラ社 2017)。
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