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2009年02月20日

秋田「しょっつる」を世界の味に

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しょっつるを使ったイタリア料理を提案

秋田県の企画により、3月5日にこんな催しが行なわれるそうです。以下は2月20日付の読売新聞の記事より。


アンチョビーならぬショッツルのパスタはいかが?──。ハタハタで作った魚醤(ぎょしょう)「しょっつる」をパスタやソースなどに利用し、イタリア料理を作る体験ツアーが来月5日開かれる。

秋田県が初めて企画した。

ツアーでは、男鹿市の醸造所でしょっつるの製造過程を見学後、料理教室に参加。メニューは、しょっつるで味付けした春野菜のパスタ、オリーブオイルなどで風味をつけた特製しょっつるソースで食べる海鮮素揚げの2種類。

一足早く試食した県の担当者は「魚のうまみが凝縮され、まさに地中海風」と太鼓判を押す。体験ツアーが参加者に好評であれば、今後、フランス料理や中華料理にも使う考えで、しょっつるの「世界デビュー」がかかっている。
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読売新聞「秋田「しょっつる」を世界の味に、まずはパスタ試食を」より


魚を発酵させて作る調味料といえば、海外ではタイのナンプラーやベトナムのニョクマムなどを思い出しますね。発酵食品ならではの、あの独特の風味は好き嫌いの分かれるところかもしれませんが(私はもちろん大好きです(笑)。

ところで、古代ローマにもガルム(ガラム garum)という魚醤があり(なので、地中海風なのは当然といえば当然?)、イタリアでは長い間、幻の調味料といわれていたのですが、最近になって復活しました。数年前からは日本にも輸入されています。札幌にはその名も「リストランテ・ガルム」というイタリア料理レストランがあるようです。これらの魚醤が各地で独自に発生したものなのか、それともどこか歴史的経緯でつながっているのか、興味があります。

アンチョビソースとも違った味わいのするガルム。秋田特産のハタハタを材料にしたしょっつる(現在はハタハタ以外の魚を使うこともあるようですが)も、きっと微妙に味わいが違うのでしょう。しょっつるパスタは、いうならば"本家"への逆輸入の試みといえそうです。


profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、郷土料理研究家、コラムニスト。主な著書:『見て、読んで楽しむ 世界の料理365日』(自由国民社 2024)、図鑑NEOまどあけずかん『せかいのりょうり』監修(小学館 2021)、(誠文堂新光社 2020)、『しらべよう!世界の料理』全7巻(図書館選定図書・ポプラ社 2017)。

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