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2009年01月07日

モカ輸入激減に揺れるコーヒー業界

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エチオピア産生豆から残留農薬

ラテンミュージックの名曲"コーヒールンバ"にも歌われているコーヒー豆・モカの輸入が、半年以上前からストップし、コーヒー業界を悩ませているのだそうです。

以下は1/6付の読売新聞の記事より。


独特の酸味と甘酸っぱい香りで、コーヒー通に人気の「モカ」が、半年以上も前から国内にほとんど輸入されなくなっている。

残留農薬が基準値を超えて検出されたためで、輸入再開のめどはたっていない。なのに大きな騒ぎになっていないのは、なぜだろう――。舞台裏では、メーカーや喫茶店が、ほかの豆でも同じ味や香りを味わえるようにと、ブレンドや焙煎(ばいせん)の工夫と努力を必死で重ねていた。

老舗の有名喫茶店が集まる東京・神田神保町。その一つ「神田伯剌西爾(ぶらじる)」では、店独自のブレンドコーヒー2種類にモカを使っていた。しかし昨夏、在庫が切れそうになったことから、別の産地の豆や焙煎の度合いを変えるなどの試行錯誤を繰り返し、何とか元の味に近づけたのだという。

「モカのフルーティーな香りは他の豆ではなかなか出せない。もっと早く輸入が再開すると思っていたんですが」。店長の竹内啓さん(37)はため息をつき、少しだけ笑ってみせた。「でも味の違いを指摘してくれたお客様はまだいません」

「日本マクドナルド」が味の良さを前面に打ち出して昨年2月に全国販売を始めた「プレミアムローストコーヒー」も、実は昨年夏ごろブレンドが変わっていた。販売から6週間で前年の25%に当たる3000万杯が売れた大ヒット商品だが、モカの輸入が制限されるという情報が入ったため、豆の産地や配合量などを変えた50以上のレシピを試作。酸味や苦み、コクなどのバランスを崩さず安定供給が可能な新レシピを開発し直したという。

「味の素ゼネラルフーヅ」でも人気の「モカブレンド」の発売を中止し、8月頃からコロンビア産に切り替えた新商品を投入した。缶コーヒー業界も「ダイドードリンコ」や「伊藤園」が、それぞれブレンドに使っていたモカをコロンビア産などに切り替えている。

異変の原因は、国内に出回るモカの98%を占めるエチオピア産の生豆から昨年4月以降、国内で使用が禁じられている4種類の農薬が、相次いで基準値を超えて検出されたため。業界団体の全日本コーヒー協会が現地入りして調査したが、農薬汚染の原因は不明で多くの商社が輸入を手控え、その後の輸入量は前年の数%程度にとどまっている。

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詳しくは「違い分かる?モカ輸入激減でコーヒー業界、悩みの味作り」(読売新聞)


エチオピア産の生豆から残留農薬ですか...。モカの代用品を模索するコーヒーショップのご苦労がうかがえます。

しかし、食の安全というと、矢面に立たされてきたのはほとんど中国でしたが、それだけではないのですね。昨年はイタリアのモッツァレラチーズのダイオキシン汚染(国外への流出はなかったそうですが)や、中国よりもインドが危ない(?NIKKEI NET)といったリポートもありました。スローフード、アーユルヴェーダの国といったよいイメージに騙されないようにしないと(苦笑)。

日本国内でも事故米、ウナギ等の産地偽装...と、食の安全を脅かす事件が続発しました。生産者と消費者が近い存在であることが大切なのかもしれませんね。


profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

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