2006年 東京の各国料理店事情 総集編
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明けましておめでとうございます。昨年はe-food.jpに格別の引き立てを賜りましてありがとうございました。今年はさらにパワーアップして、充実した世界の料理情報をお届けしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします!
さて、年の始めにあたり、昨年1年間の東京の各国料理店事情の総集編をお届けします。
e-food.jpでは、各国料理店の情報の早さと量で世界一を目指す(笑)「東京レストランサーチ」を運営していますが、2006年はまさに各国レストランの当たり年。東京にこれまでなかったり、少なかった国のお店がたくさんオープンしました。
以下に1年間に新しくできた主なお店をまとめてみましょう。
1.「カラバッシュ」(西アフリカ料理・浜松町)2005年末
2.「ソフィア」(ブルガリア料理・汐留)2006年4月
3.「パルミラ」(シリア料理・池袋)6月
4.「エリックピエール」(イタリア、マダガスカル料理・駒澤大学)7月※
5.「ネフェルティティ東京」(エジプト料理・目黒)11月
6.「ニュージーランド・トラベルカフェ」(ニュージーランド料理・六本木)11月
7.「ガテモタブン」(ブータン料理、和食・代々木上原)12月
※開店当初はマダガスカル料理のメニューはなかったが、近日中にメニューに加える予定とのこと。
※ほかに、ホテル・レストランの特別イベントとして、「10ヶ国の料理フェスタ(ブルネイやアラブ首長国連邦など)」と「アルゼンチン料理フェア」(ホテルオークラ)、「ペルー料理フェア」「フィリピン料理フェア」「ベネズエラ料理フェア」(ヒルトン)、「ハンガリー料理フェア」(ロイヤルパークホテル)などが開催。
ざっとこんなラインナップ。中でも私にとって刺激的だったのは、マダガスカル料理の「エリックピエール」と、年の瀬に開店した、おそらく本国内や周辺地域以外で初めてであろうブータン料理の店「ガテモタブン」でした。
前者は、先日、マダガスカル大使館で開催された年越しパーティーにうかがって改めて味を確かめてきたのですが、アフリカというよりはアジアを感じる料理。彼らの遠い祖先は、沖縄と同じインドネシア(マレー系)にルーツを持っていて、「沖縄の島唄に郷愁を感じる」なんておっしゃっていたくらいです。アフリカやポルトガル、インドやアラブの文化がミックスした独自の料理でありながら、日本人にもなじみやすい食べ物がたくさんあります。
後者は、とうがらしを多用した、「世界一辛い」ともいわれる料理。ブータンの人々は日本人と顔つきがよく似ていて、親しみを感じてしまうのですが、ヒマラヤの高地で暮らす民族だけに、食文化はやはり違うようで...。
どちらも、各国料理のメッカ・ニューヨークにもレストランがない国です。東京のレストランシーンは、なかなかスゴいことになっていますよ。
ちなみに、手元にあるニューヨーク各国料理店のバイブル的なガイドブック「Best Ethnic Eating in New York City」(2004年版)より、現在、東京になく、ニューヨークにある国(・地域)のレストランをざっとあげてみましょう。
チリ(神戸にあり)、ウルグアイ、ベネズエラ、グァテマラ、ホンジュラス、パナマ、エルサルバドル、アルメニア、アゼルバイジャン(京都にあり)、グルジア、タジキスタン、ドミニカ、プエルトリコ、アルバニア、ボスニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド(名古屋にあり)、エクアドル、エリトリア、南アフリカ、オランダ(大阪にあり)、グレナダ、セントビンセント、ジューイッシュアメリカン、ヨルダン、イエメン、ウクライナ、トリニダードトバゴ、ガイアナ、スリナム
国数だけで計95ヶ国以上。う?ん、世界の壁はまだまだ厚い...。でも数年前に比べると、クリアした国はぐっと増えたと思います。がんばれトーキョー(笑)。
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さて、国数の増加だけでなく、国ごとの地方料理に特化したレストランも増えてきました。
たとえば、中国料理も四川・北京・広東・上海のほかに、雲南や京蘇、延辺などローカル色あふれるお店が登場したり、同様にイタリア料理もピエモンテやトスカーナ、シチリア、サルデーニャ...、またフランス料理もブルゴーニュ、プロヴァンス、バスク...と細分化されて、といった具合です。
また、東京にある日本全国の郷土料理店を調査したところ、現在までに神奈川県と岡山県を除く、すべての県の郷土料理が食べられる各専門店が見つかりました。
これらの特化は、お店の数が増えたための差別化という理由もあると思いますが、東京のレストラン・ビジネスがいかに多様化し、また文化的に成熟してきたかを測るバロメーターにもなりそうです。
「東京レストランサーチ」では、近日中に、そんな海外・国内の地方料理にも対応したページへのリニューアルを予定しています。各国料理をさらに掘り下げて、ローカルフードの魅力をたっぷりお届けできるサイトを目指していきますので、どうぞご期待ください。

e-food.jp代表、郷土料理研究家、コラムニスト。主な著書:『見て、読んで楽しむ 世界の料理365日』(自由国民社 2024)、図鑑NEOまどあけずかん『せかいのりょうり』監修(小学館 2021)、(誠文堂新光社 2020)、『しらべよう!世界の料理』全7巻(図書館選定図書・ポプラ社 2017)。
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