千葉・勝浦の朝市
[ ■全国・食の旅 ]
人情のある昔ながらの朝市
400年以上の歴史を持ち、石川県の輪島、岐阜県の高山と並ぶ「日本三大朝市」にも数えられている、千葉県勝浦の朝市を訪ねてきました。
勝浦漁港に近い、その名も"朝市通り"には、水曜日を除く毎日、朝6時から11時にかけて、およそ80ものお店が出ます。新鮮な魚介類はもちろん、塩辛などの加工品や、地元で採れた野菜、果物、それにお菓子などなど、昔ながらの素朴な売り物が道端に並ぶ様子は、日本の原風景のような懐かしさ。
朝市の様子。観光客や、地元のお客さんで朝早くからにぎわっていた。押し合いへしあいということはなく、のんびりとして、品のある雰囲気。もちろん、新鮮な魚が安く売られている。
まくわうりのようなカタチをした小ぶりのスイカが1個300円。右写真は、朝市の通りのはずれにある、塩辛専門店。イカの塩辛と海苔の佃煮が美味でした。
野菜に混じって、いろいろな色をしたとうもろこしや、色鮮やかなとうがらしも。ちょっとペルーの市場にでも迷い込んだような気分(笑)。
「朝市の味」と掲げた、ユーモアたっぷりの老ご夫婦が商売されている、屋台のきんつば屋さん。いわゆる和菓子屋のきんつばとは違い、小ぶりの今川焼きのような素朴な焼き菓子が1個40円。行列のできる人気。おじいちゃん、おばあちゃん、いつまでも元気でいてね、と思わず声をかけたくなった。
房総沖でとれた海草で作った、出来たての自家製ところてん200円。夏の朝に、さっぱりと冷たいところてんは格別のおいしさ。実はところてんを押す途中で折れてしまって、ごめんね、といって、お店の方がおまけしてくださった。
付近には、イカやアジの干物が並ぶ風景も(アジの干物は1尾50円から売られていた)。勝浦漁港がすぐ近くにあり、堤防には釣りざおを担いだ、一般の太公望たちの姿も。
きらめく太陽と、国定公園に指定されている、美しいリアス式海岸の続く南房総の風景。海に注ぐ川には、魚の群れがピチピチと跳ねる姿...。生命の躍動に心いやされる思い。「疲れたときは、いつでも勝浦に海を見にいらっしゃい」とは、宿泊先のおかみさん。
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朝市のお店の主は、ほとんどがお年寄り。そしてみなさんの、なんと明るく、活き活きとした表情よ...。毎日、早朝からの大変な仕事を、お客さんとのやりとりを楽しみながら、正直に商売されているお店が多くて、何だか、ほのぼのと温かい気持ちになってくるのでした。
勝浦は、東京から特急電車に乗っておよそ1時間半で行ける、まさに日本のスローフード、スローライフが息づいた場所なのです。
e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。
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おいしそう!
Satoshiさん、コメントをありがとうございます。
意外と近くにステキな場所があるものだなぁ、と思いました。ぜひ癒されに出かけてみてくださいね。
いいねえ?、港町に泊って新鮮な海と山の幸で一杯なんてたまりませんなあ。
俺も行こうかな癒されに。帰省の癒し効果がそろそろ切れそうだから。