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2004年09月13日

マヌエル|ポルトガル料理|渋谷

渋谷のポルトガル料理レストラン「マヌエル コジーニャ・ポルトゲーザ」に行ってきました。

種子島への"南蛮人"の渡来以来、日本と関係が深い国ポルトガルですが、なぜか長い間レストランがほとんどなく、料理についてもまったくといっていいほど知られてきませんでした。

で、最近になって、やっとポルトガル料理レストランがいくつかオープンしはじめたのは、「マヌエル」の成功の功績が大きいかもしれません。

今回、久々に訪れたのですが、追従店に負けじという思いなのか、開店当初に比べて、メニューやワインの品揃えがずっと充実していました。刺激しあって進化するのはいいことですね。

特に9月は、ファド(ポルトガルを代表する民謡)の月ということで、昨年オープンした四谷店ともどもライブ・イベントに力を入れている様子でした。

ポルトガルはスペインと一緒くたにされがちだけれど、料理もスペインとは似て非なるもの。やさしい味わいの煮込みや、焼き魚など、日本人になじみやすいオリジナルなおいしい料理がポルトガルにはたくさんあります。

それもそのはず。日本のかき揚げは、"パタニスカス・デ・バカリャウ"という干タラのフライが、また、かやくご飯は、"コイジド・ア・ポルトゲーザ"というポルトガルの炊き込みご飯がルーツといわれているのですから!前者の"元祖かき揚げ"は「マヌエル」でもいただけます。

ちなみに、ポルトガルの闘牛は牛を殺さないのだとか。このあたりにもスペインとはまた違った、穏やかな国民性を感じます。

ファドのライブ情報は、「マヌエル」の公式サイトに詳しく掲載されています。その昔、ポルトガルの国民的歌手・故アマリア・ロドリゲスの歌で世界的にヒットした"暗いはしけ"や"ポルトガルの4月"などが、ファドの名曲としてよく知られていますね。哀愁を帯びたメロディーは初秋にぴったりですし、ポルトガルらしい雰囲気をいっそう楽しめそうです。

料理だけではなく、その国の文化を紹介する姿勢は大賛成です。この日は、お店の方に料理についてちょっと質問したのですが、お忙しい中、地図を持ち出し、どこの地方の料理かなどを丁寧に教えてくださいました。「ポルトガルを好きになってほしい」という、お店の真摯なモチベーションが伝わってくるようでした。

「マヌエル」渋谷店の現シェフは、正確には元ポルトガル領のマカオ出身ということで(「マヌエル」の本店はマカオにある)、炒飯などの中華風や、カレー風料理(同じく元ポルトガル領だったインドのゴア経由といわれる)など、マカオ・テイストのメニューもあった覚えがあります(ちなみに、四谷店はポルトガル人シェフとのこと)。

また、"ボリーニョ・デ・バカリャウ"(干タラのコロッケ)や"フェジョアーダ"(豚肉と豆の煮込み)など、今日ではブラジルでもポピュラーな料理もあったりして...。もちろん、いわしの炭火焼きや"カルド・ヴェルデ"(青菜とじゃがいものスープ)、"カタプラーナ"(魚介類の蒸し煮)など、田舎風な本場ポルトガル料理のメニューも豊富。ポルトガル語圏の料理が幅広く食べられるのは、なかなか魅力的です。

料理には、干タラ、あさり、いわしなどのシーフード、トマト、じゃがいもなどの野菜がたっぷりと使われているほか、東南アジアやメキシコ料理でおなじみのシラントロ(=パクチー)が多用されているのは意外でした。

今回は、異国な料理に慣れていない20代前半の女の子たちと出かけたのですが、みんな「珍しくて、おいしい!」と喜んでくれました。

どこの国の料理という枠に関係なく、心のこもった一品一品に感激してくれたようでした。一軒家のこじんまりと可愛らしい店構えやフロアも、相変わらず素敵。お料理には、ワインが苦手な人でも飲みやすい、微発泡のポルトガル産白ワイン"ビニョ・ベルデ"がよく合いました。

マヌエル コジーニャ・ポルトゲーザ
渋谷区松濤1-25-6
Tel.03-5738-0125
ランチ12:00 - 15:00 ディナー18:00 - 22:30
定休日 水
http://www.manuel.jp/


profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、郷土料理研究家、コラムニスト。主な著書:『見て、読んで楽しむ 世界の料理365日』(自由国民社 2024)、図鑑NEOまどあけずかん『せかいのりょうり』監修(小学館 2021)、(誠文堂新光社 2020)、『しらべよう!世界の料理』全7巻(図書館選定図書・ポプラ社 2017)。

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キム小僧さん、コメントをありがとうございます

ポルトガルのリピーターでいらっしゃるのですね。カメの手なんて珍しい...。想像をかきたてられます。

  • 2007年01月04日 10:00

ポルトガルは何度か行きましたがいいところですよね。
リスボンのメイン通りにあるバールは蒸し海老は量り売りだったり,日本ではあまり食べないカメの手(甲殻類)など美味しいものがあります。
干し鱈は市場に行くと山のように売っています。スープも美味しいです。
今度この店に行ってみます。


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