イタリアよりパルミジャーノ・レッジャーノ協会・関係者が来日
6月6日にGINZA SIX内にある観世能楽堂(銀座)で行われた、イタリアのパルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会による、同チーズの魅力を伝えるユニークな特別イベント「パルミジャーノ・レッジャーノ道の極み」に参列させていただきました。
当日は、人間国宝の能楽師・辰巳満次郎氏と、書家の中塚翠涛さん、女優のMEGUMIさんを迎え、ジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使閣下ら出席。イタリアのチーズ道と日本の能楽に共通する、1000年もの歴史を持つ伝統と職人精神を五感で体感させてくれる催しとなりました。
辰巳満次郎氏による創作能の披露も。イタリアと日本の伝統の重みを感じる、格調高いイベントだった。
世界最古のチーズのひとつ
パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリア北部のエミリア=ロマーニャ州とロンバルディア州で製造される、牛乳から作る硬質チーズ。その歴史は9世紀までさかのぼり、「世界最古のチーズのひとつ」と呼ばれることも。
スパゲッティにかける粉状のパルメザンなど廉価な類似チーズが日本を含む世界各地で作られていますが、名称自体はイタリアおよびヨーロッパの法律に基づきこれらの州で生産されるチーズに与えられる原産地呼称保護(PDO)となっています。本物のパルミジャーノ・レッジャーノは少なくとも12ヶ月間、熟成され、熟成期間が長いほどまろやかさが増し、価値が上がるとされています。
会場では、24カ月と36カ月熟成のチーズの食べ比べも。
そのため、パルミジャーノ・レッジャーノの価値はイタリアの銀行にも認められていて、生産者がチーズを担保にできることができるほどだそうです。 さて、広報事務局の方々のご厚意で、今回来日したパルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会のブランド&コミュニケーション担当のイラリア・グレコさんに、このチーズの背景について少しお話をうかがうことができました。 1934年に設立されたパルミジャーノ・レッジャーノの保護団体である同協会には、同チーズの全生産者が加盟しているそうで、製品の保護、防衛、振興を目的に活動をされています。 パルミジャーノ・レッジャーノに使用する牛乳はすべて地元産で、牛は牧草または干し草のみを餌として与えられ、ハーブがチーズに独特の風味を与えるといいます。またスターターとして使用できるのは、天然ホエー培養物と子牛のレンネットのみで、輸入飼料や発酵飼料は禁止されています。 また協会では、チーズを塩(地中海産の塩)漬けして12カ月間の熟成を行ったあとにも厳格な品質検査も担っており、大きな円盤型のチーズすべてを小さなハンマーで叩き、チーズの輪の中に亀裂や空洞がないかどうかをチェックして等級を分けているそうです。 生産者にとっては重労働であることがうかがえ、日本のように酪農業を継承する若者が減っているのではないか?という問いには、「生産者の多くが代々続く家族経営のため、後継者問題はさほどでもない」とのこと。 エミリア=ロマーニャ州とロンバルディア州の誇りであり、イタリアだけでなく世界中を魅了するパルミジャーノ・レッジャーノの未来は、しばらく安泰のようです。パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会の役割