アジア最大級の食品展が本格的に復活
3月5日から8日まで東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催された「FOODEX JAPAN 2024/ 第49回国際食品・飲料展2024」に伺ってきました。今年はコロナ禍後、試食が復活するなど通常開催にやっと戻った感があり、世界68ヵ国・地域から2,879社/3,913小間が出展し、通算で昨年を上回る76,183名の来場者を記録したとのことです。
以下に、世界の郷土料理的に興味を引いたブースをいくつかご紹介します。
ジャマイカ産ラムのケーキによく合うブルーマウンテン・コーヒー
2024年に日本と外交関係樹立60周年を迎えたジャマイカ。さらに今年は日・カリブ交流年とのことで、さまざまなイベントが行われる予定とのこと。今回はジャマイカから業者さんが来日し、カリビアンスープやジャークシーズニングの展示、試食を行っていました。香り高いジャマイカ産ラムを使ったケーキと楽しむブルーマウンテン・コーヒーは最高の組み合わせで、日本でも広まってほしいなぁと思いました。
モンゴルの「ヤクのギー」と「サジー100%のジュース」
小さめのブースながら、興味深い商品がそろっていたのはモンゴルのブース。栄養豊富なヤクのギー(バターオイル)は、少々クセのある味をカバーするためにコーヒーに入れて食べるという提案をされていました。これならおいしくいただけました。また抗酸化成分はなどを持つというモンゴル産の果物サジー(シーベリー)100%のジュースは、酸味が強く最初はやや飲みにくいものの、慣れるとおいしく感じられました。
ちなみにエストニアのブースでもサジーの展示、試食をしており、同じサジーでも品種が違うそうで、こちらはもっと飲みやすく、どちらも体によさそうな味わいでした。
スペインの100%純血種「ハモンイベリコベジョタ」
独特なデザインが目を引いたスペイン・コーナーでも様々な食品、ワインの展示が行われていましたが、訪ねたのは、モンテサーノ社のブース。コルダドールによるハモンイベリコベジョタ(100%純血種)は品質が安定しており、脂身の甘い味わいがとても美味でした。
タイ料理のクッキング・デモ
タイのコーナーでは、錦糸町にあるタイ教育・文化センターの先生が、タイのパンケーキや、マッサマン・カレーなどタイ料理のデモンストレーションを行っていました。タイから輸入される食材の数も増え、自宅でも本格的なタイ料理が作れるようになったのはうれしい限りです。
イタリアからパネトーネの巨匠が来日!
FOODEXの会場では、ときどきとんでもない(笑)サプライズがあります。今回は初日のイタリア・コーナーで、イタリアから来日したパネトーネの巨匠ジュセッペ・ピファレッティさんによる貴重なセミナーが開催されました。もちろん試食も!
超絶的なおいしさとともに、その奥深さと、17才から65才の現在まで作り続けてきたというマエストロのパネトーネへの愛に深く感銘を受けました。当日は、パネトーネの生地と似た、復活祭に食べる「コロンバ・パスクアーレ」のデモも行われました。
またトリュフ入りパスタソースの試食など、おいしく食べることを愛するイタリア人らしい気質をFOODEXの会場でも存分に味わうことができました。
そのほかの魅力的な食品の数々
↑3月12日からのイスラム教のラマダン月に向けて、日没後の食事イフタールに欠かせないデーツ(ナツメヤシの実)。その品種は多数ありますが、食品会社シディーク・ナショナルマートのパキスタン人の社長シディークさんが手にしているのは、大粒で人気の高い「マジョール」種のデーツ。きっとたくさん売れることでしょう。
↑ラトビアのブースでは、ブリスリング種イワシ(ヨーロピアン・スプラット)のオイル漬けの缶詰業者が数社。こちらDIPLOMATS社の商品はおしゃれな缶入りで、食べやすそうでした。
↑ポルトガルのブースでは、ポルトガル直輸入の冷凍「パステル・デ・ナタ」の展示と試食。オリジナルのほかに、アップル、チョコレート、キャラメル味を展開していた。アップル味がさっぱりしておいしかったです。またポルトガルから食品団体の業務執行取締役が来日してのセミナーも行われました。
↑台湾コーナーも活気がありましたが、珍しかったのは「粉粿(フングイ)」という、日本のくず餅やわらび餅のような食感のお菓子の粉末。昔ながらの懐かしい味で、台湾では若者の間でリバイバルしているそうです。
↑ポーランドでは、EUとの共同出資事業として在日ポーランド商工会議所による「Taste Europe(ヨーロッパを味わおう)!」のキャンペーンが展開中。FOODEXの会期中には、ポーランド大使館にて同国の精⾁業者・加⼯⾁メーカー協会と全国⻘果物⽣産者連盟のレセプションにも出席させていただき、大使館シェフがポーランド食材を使って作る料理を体験することができました。豚肉の品質のよさが印象的でしたが、牛肉や鶏肉、野菜、果物類もすばらしく、同国が今やヨーロッパ有数の農業国であることを実感しました。
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来年はFOODEX JAPANが創設されて50周年の記念年だそうです。国内外を問わず新たな食品、食材を使った活発なビジネスが展開され、食文化の発展に寄与することを願っております。