エビのモフォンゴ
プロ野球・ラミレス選手のレストラン
【閉店しました】2013年2月半ばに西麻布にオープンした、プロ野球・横浜DeNAベイスターズの外野手で元メジャーリーガーの、ラミちゃんことアレックス・ラミレス選手が経営する、日本初のプエルトリコ料理レストラン。
店名がややぶっ飛んでいて、最初はちょっと心配になりますけど(笑)、きちんと本格派な料理を提供するカフェ&レストラン&バーです。ご安心を。
ちなみに、ラミレス選手自身はベネズエラの首都カラカス出身なのですが、奥様がプエルトリコ人とのことで、レストラン代表も奥様の名前でプエルトルコの名物料理を提供しているそう。でも実は、プエルトリコもベネズエラも同じカリブ海に面したスペイン語圏で、距離的にもそれほど遠くないので、野球が盛んだったり、料理が似ていたり等、国こそ違えど文化面で共通点がけっこうあるようです。
上写真は、プエルトリコを代表する料理のひとつで、ラミレス選手もおすすめのモフォンゴ980円。グリーンバナナをつぶしてベーコンやにんにくと一緒に炒めた、クリスピーな食感が何とも忘れがたい一品です。辛くはありません。お店では、赤いハーブのソースをかけたり、エビをトッピングしたりで、さらにおいしいアペタイザーとしていただくことができます。
グリーンバナナ料理のオンパレード!
とにかく、メニューはカリブ海らしく、グリーンバナナ(プランテーン、調理用バナナ)を使った料理のオンパレード。フライにしたり、コロッケのようにしたりで、日本人としては、食材にもう少し工夫があってもいいのに、とすらと思うほどです。カリブ料理といえば、あとは他に黒豆などもポピュラーですが、グリーンバナナは彼らにとって日常的で大切な食材なので、それをふまえて体験してみると、楽しめるかと。
ちなみに、グリーンバナナは、日本で一般に売られている黄色いバナナの未熟なものではなく、そもそもバナナの品種が違います。熟れる前の緑色の巨大なバナナで、味はぽそぽそした”おいも系”といったらおわかりいただけるでしょうか。

ローストポーク&ライス、トストーネス、スパニッシュサラダ。2050円
メインのメニューには、肉や魚料理に、トストーネス(これまたグリーンバナナ!)、スパニッシュサラダ、ライス(本来はイエローライス)などを付け合せたワンプレート・セットが並びます。上写真は、プエルトリコの基本ソースであるピーマン、コリアンダー、にんにく、玉ねぎで作ったソフリートで味付けしたローストポーク。裂いた豚肉をほろほろになるまで煮込んであって、おいしくいただけます。
他にチュラスコ(焼肉)やステーキ、サーモンといったメインもありましたが、カリブ海というと、個人的には上記のようなスタイルの肉料理を思い出します。ラミちゃんご自身もこのローストポークがお気に入りとのことで、まずは素直にオーダーしてみることをおすすめします(笑)。
で、他の料理はこんな感じ。
- アルカプリアス。つぶしたグリーンバナナで具を包み揚げた料理。
- グリーンバナナと砂肝のサラダ
- デザートのフラン。しっかり固くて、濃厚なおいしいラテン・プリン。
- ラミちゃんのラテアートがすてきなラミチーノ。
- カジュアルでカリビアンな雰囲気の店内。
- お店にはラミちゃんの似顔絵も。
グリーンバナナ以外には、デザートのフランやスパニッシュサラダ、チョリソなどに、スペインの影響がうかがえるのをおわかりいただけるかと思います。
ドリンクやカクテルの方も、なかなか充実。特にラテンのトロピカルフルーツ・ピュレは、マンゴーやグアバのほか、アサイーやグアナバナ、モラ(アンデスベリー)といった珍しいフルーツジュースのメニューがそろっているのが、ポイント高いですね。
プエルトリコとは?
プエルトリコ Puerto Ricoは、カリブ海に浮かぶアメリカ合衆国のコモンウェルス(準州)・自治連邦区。首都はサンファン。オリンピックやワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などには、アメリカとは別途に単独で出場しています。
15世紀から19世紀末まではスペインの植民地。米西戦争でスペインが負け、フィリピンやグアムなどとともにアメリカの領土になった経緯があるため、近隣のドミニカ共和国やキューバと同様、公用語はスペイン語で、住民もヒスパニックと呼ばれるラテンアメリカ系の人々。料理をはじめスペインの影響を今も色濃く残しており、アメリカから独立か否かの住民投票がいまだに時々行われているほどです。

カリブ海マップ
一方、1950年代のミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」にも描かれたように、ニューヨークにはプエルトリカンの一大コミュニティがあります。アメリカ最大の都市での人種構成も、今やマイノリティとはいえないほど人口が増え、サルサやレゲトンに代表されるダンス&音楽などのプエルトリカンならではの文化を発信し、それらはプエルトリコ本土からより、ニューヨークを通して世界的に有名になった感も。
というわけで、ニューヨークにはプエルトリコ料理レストランもたくさんあります。でも、まさか、こんな形で東京にプエルトリコ料理店がお目見えするなんて、思ってもみませんでした(笑)。
少し前まで、東京の各国料理レストランの中でバリエーションが弱かったのがカリブ海エリアだったのですが、今では、キューバも、ジャマイカも、ドミニカ共和国も、トリニダードトバゴも専門レストランが登場しました。そして、ついにプエルトリコ料理が!今や、ニューヨークの各国料理店の国数に追いつきそうな勢いです。すごいなあ…。
ラミちゃんご自身が来店することも
料理のお値段が場所柄かちょっとお高めで、料理メニューにももうちょっとバリエーションがあってもいいのに、などと思っていたら、われわれが訪問した日、何とラミレス選手ご自身がお店に現れ、各テーブルを回ってあいさつしながら、写真撮影にも応じてくださいました。人気者だけに茶目っ気のある気さくな方で、これには感激!
値段は高めでも、ひと皿のボリュームは満点です(ですので、人数を集めて出かけた方がよいと思います)。また、若いスタッフも、プエルトリコ料理の知識をきちんとお客さんに説明できるようにと、がんばっておられるようでした。
プロ野球のシーズンが開幕してしまった後は、ラミレス選手にお店で会えるチャンスは限られてしまうかもしれません。しかしながら、日本のファンに愛され、今年、国内だけで2000本安打の偉業を達成しつつあるラミレス選手のお気に入り、かつパワーの源でもあるプエルトリコ料理を体験しに、野球ファンのみならず、各国料理好きも一度は訪れる価値がありそうです。
[cft format=”0″]