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4/28/2002

ソーセージの匂い香ばしいリトル・ワルシャワ

ブルックリン~グリーンポイントのポーランド人街


ニューヨークのポーランド系移民というと、ミュージカル好きな私などは、「ウエストサイド・ストーリー」の主人公、トニーを思い出してしまいます。

第二次大戦後のアメリカで、彼らポーランド人はアメリカで"プア・ホワイト(貧しい白人)"と呼ばれ、社会の最底辺で肉体労働に従事していました。そして子供たちは不良と化し、50年代には後からやってきたプエルトリコ系移民の子供たちと抗争を重ねて、大きな社会問題になっていたのです。

「ウエストサイド・ストーリー」では、ポーランド系のトニーと、プエルトリカンの娘マリアの"ロミオとジュリエット"のような悲恋を軸に、"ポラック"(ポーランド野郎)、"スペック"(スペイン野郎、スペ公)と侮蔑語をぶつけていた両民族の憎しみ、そしてやがて芽生える和解を生々しく描いていました。

世界の縮図のようなニューヨークでは、時折、このような民族間の抗争が起こってきたのです。

さて、時代は変わって、現在ではポーランド系移民の地位も向上してきたようです。また、政治的な理由から本国を逃れてきた後発のポーランド移民も増えたいいます。

今回訪ねたブルックリンのポーランド人街・グリーンポイントは、もともと近くに造船所をひかえた労働者の町だったそうですが、サウス・ブロンクスのようなすさんだ感じはなく、活気のある、小さなヨーロッパの街といった感じでした。

地下鉄G線グリーンポイント駅からナッソー・ストリート駅に続く
ポーランド人街の写真集

街は通常、グリーンポイントと呼ばれているが、メインはナッソー通り。
車の通りも人の通りも多く、とても活気がある。
Polska Restaurant。入り口の古めかしい感じがいい雰囲気。
美しいカトリック教会。
これもレストラン。
本屋さん。もちろんポーランド語の本・雑誌ばかり。
バチカンのヨハネ・パウロ司祭もポーランド人でした。
街でよく見かけたポーランド・ビールのラベル。東欧チックでかわいい!
ポーランド料理の数々。上はチキン・ヌードル・スープ
白いボルシチ
ピエロギ
ポーランド風ロールキャベツ

行き交う人々がかわすポーランド語の会話、ポーランド語の看板や雑誌の数々、美しい教会、そしてアコーディオンの音色...。まるで、ワルシャワやクラコフの街角に来たような風情です。東洋人など皆無なのですが、私たちが街を歩いていても、レストランに入っても、住民に好奇の目で見られるということはありませんでした。そのあたりはさすが、ニューヨークです。

さて、生活感のある街だけに、食材店やレストランも実にたくさんありました。"キルバーサ"と呼ばれるソーセージを専門に売るお店からは、香ばしい匂いがただよい、また、グロサリーの陳列棚には見たこともないような珍しいスープの素や缶詰、お菓子、ビールがところ狭しと並んでいて、時間を忘れるくらい引き込まれてしまいました。


ちょうどランチ・タイムだったので、"New York Neighborhoods"が推薦するレストラン「Polska Restaurant」に入ってみることにしました。

まずは、種類あまたのスープ。チキン・ヌードル・スープとマッシュルーム入りのボルシチをオーダー。メインには、ポーランド料理の有名どころを盛り合わせたメニューがあるので助かりました。メニューには、一般のアメリカ人向けに英語表記もあります。

盛り合わせの中身は、焼いたキルバーサ(スパイスの香り高くてとてもおいしい!)、サワークラウトを具と煮込んだ"ビゴス"、サワークリームとすりおろしたビーツをつけて食べる揚げ餃子のような"ピエロギ"、甘いカッテージチーズなどの具を巻いたクレープ"ナレスニキ"、そしてお米の入ったポーランド風ロールキャベツでした。どれも家庭料理のように素朴で、日本では食べたことのない料理です。

本物のテーマパークというのは変な言い方ですが、のんびり気ままに"リトル・ワルシャワ"を歩いて、ポーランドに行ったような気分を味わうことができました。
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