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バリ島の料理ウブドの雑感

寺院世界広しといえど、バリ島ほど人によって旅の目的が分かれる場所は珍しいかもしれません。ビーチリゾートでくつろぎたい人、ダイビングを楽しみたい人、バリ舞踊やガムランなどの芸能に触れたい人、田舎でのんびりしたい人...。目的に合わせて島内の宿泊場所も変わってきます。

でも、バリの伝統的な文化を感じたいなら、迷わずウブドに滞在すべき。メインストリートはすっかり観光地化され、ケチャやレゴン・ダンスの多くはツーリスト向けに演じられている様子でしたが、ちょっと遠出をすると、おそらく50年、100年前から変わらない風景、人々に出逢うことができます。

バリを語る上で忘れてならないのが、バリ・ヒンズーの背景です。ウブドにも寺院があちこちに点在し、女性たちはひっきりなしにお供え物を捧げ回り、ほとんど1年を通してお祭りや行事が行われているようでした。インドのヒンズー教とはちょっと違うそうですが、マッサージやスパイスで病気を治すアーユルヴェーダの民間療法などはバリでも受け継がれています。日本人にとっては距離的に近い分、インドよりも親しみやすい感じ。ウブドだけでも、エステ系からメディカル系までたくさんのマッサージ・サロンがありました。

フィッシュ・サテ料理も当然、ヒンズー教の影響を受けているのですが、インドではご法度の豚肉は、バリでは人気の食べ物だったりします。聖なる牛も、僧侶以外は気にせず食べているとのこと。祝い事には、「ラワール」と呼ばれる肉料理、お祭りには、「バビ・グリン」と呼ばれる子豚の丸焼きを食べます。アヒルのミンチ肉をバナナの葉で包んだ「トゥム・ブブック」などという珍しい料理もあります。

また、バリ島といってもけっこう広く、海岸地域の魚のサテ(サテ・リリット)など、地域によっていろいろな郷土料理があるようです。ぺリプラス社の「アジア食文化紀行 バリ島」によると、サテ・リリットは"世の中で一番おいしいサテ"だとか。また、人が集まる場所らしく、ジャワ料理や、西スマトラのパダン料理などインドネシア各地のレストランも見かけました。もちろん、サテなどをはじめとする屋台も活躍しています。

魚のサテ パダン料理

クルンクン名物のすりつぶした魚のサテ。バリ島内で魚料理は珍しい。

パダン料理の盛り合わせ。店先にいろいろな惣菜が置かれ、選んでいった。海老などの海鮮が目立ち、スパイシーな味付けが特徴。

ウブドに到着した私の第一印象はこうでした。「ここには生命の息吹があふれている!」。ココナツやドリアンが庭先でたわわに実をつけ、ヒヨコを連れためんどりがそこかしこで餌をついばみ、バカンスの旅行者をよそに村人が黙々と仕事に励んでいる...。輝く生命の営みを、村は縮図のように見せてくれます。信心深く、穏やかに、そしてたくましく生きる村人たち。ガムランやケチャダンスに秘められた、魂に響く官能性。まさに癒しと元気を与えてくれるようです。人生のリセットには、格好の場所といえるでしょう。(by ゆ)

 

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