蒸したナポレオンフィッシュ
珍しい中国・貴州・雲南の少数民族料理
2012年8月、麻布十番にオープンした、中国の貴州や雲南、江西省の少数民族の発酵料理をメインに取りそろえた中国料理店。店名の「ナポレオンフィッシュ」は、中国で蘇眉(ソウメイ=日本名メガネモチノウオ)と呼ばれる高級白身魚で、発酵唐辛子のタレを使った蒸し料理(下写真)がお店の名物にもなっています。
東京に各国料理レストランは数々あれど、これはとびきりユニークというか、奇抜というか…。お店の立て看板にも「中国のマニアックな少数民族料理お召し上がり頂けます」と、しっかり書かれていますし。
まぁ、この口上だけですと、それこそ珍しもの好きがそぞろ集ってきそうなのですが(笑)、実はこれらの料理、中国と同じ魚醤や納豆といった臭みのある発酵食品の文化圏にいる日本人にとっては、おいしく、食べやすく、どこか懐かしい味なのです。
ご存知の通り、発酵食品は、免疫力を高めるなどで美容と健康に最適な食材。山岳に暮らす中国南部の少数民族の人々の間では、保存食として発酵食品が発達してきたそうです。さらに、料理の食材には山の野菜やきのこがたっぷりで、何ともヘルシーな食事が堪能できます。
日本人調理人である、お店の小山内耕也シェフは、青山の薬膳中華「チャイニーズレストラン エッセンス」、渋谷の発酵・薬膳中華料理「月世界」で修業を積まれた薬膳・発酵料理のエキスパート。以前から中国の雲南や貴州、江西省に時折実際に出かけ、それらの地域の少数民族のマニアックな料理を紹介したいと考えておられたそうです。「若い人の多い渋谷では万人受けしないかもしれないけれども、麻布十番のお客さんならわかってもらえるかも」と考え、今回、麻布十番でお店のオープンにこぎつけたそう。
上写真は、ナポレオンフィッシュの蒸し物と並ぶメイン料理のひとつ、雲南の秘境・西双版納(シーサンパンナ)のタイ族の料理”各種きのこのバナナリーフ包み蒸し”。バナナの葉と、レモングラスの香り、そして発酵調味料が食欲をそそります。
ご覧のとおり、素朴ではあるけれども、いわゆるゲテモノ料理ではありません。先入観をまず捨てて、発酵料理の旨さを堪能してみてください。
前菜。珍しい野菜もちらほら。他に、しょうがベースのソースで食べる、バーニャカウダ風の生野菜ディップも。
貴州名物 黒わらび春雨の冷製。麺のような食感。発酵食系のたれが旨い!
四川料理のよだれ鶏(中国語では”口水鶏”)。よだれが出るほどおいしい、というのが名前の由来。四川料理らしくとうがらしがたっぷり。
老虎菜=香菜(パクチー)サラダ。ごまだれがおいしい。パクチー好きにはシャキシャキ感もたまらない。
和牛とマコモ茸と野菜強火炒め。マコモ茸の歯ごたえがいい。
デザートの杏仁豆腐。クリーミーでぷるるんとしたおいしい一品。
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