日本初の本格派マルタ料理レストラン
昨年8月に新橋西口にオープンした、マルタ共和国の料理を提供する「レストラン・マルタ」に行ってきました。日本人シェフが腕を振るう家庭的なお店です。現在、品川区内にマルタ人シェフのいるカフェレストランがありますが、マルタ料理と冠した専門レストランはおそらくこちらが日本初だと思います。
マルタ共和国は、イタリアのシチリア島沖に浮かぶマルタ島とゴゾ島からなる、地中海の島国。北アフリカのチュニジアとも至近距離です。国名は、かつてこの島の領主で、今もイタリアに現存して活動しているカトリックの「マルタ騎士団」にちなんで名づけられました。
上写真は、マルタ・スタイルのピザ「フティーラ」。生地の材料の基本はピザとほぼ一緒ですが、四角い形やごまが振ってあるのが特徴的。お店ではお好みで、具を半分ずつ別なものにしていただけます。
今回はお店のおすすめの、ゴゾ島産のはちみつをかけて食べる”ゴゾ”と、シーフードの入った”マルサシュロック”をチョイスしました。おいしい!
↑こちらがゴゾ島のはちみつ。コクがあって、フティーラの具のチーズとよく合います。
↑マルタの家庭料理を少しずつ盛り合わせた前菜。イタリアに近い感じで、東地中海の”メゼ”とはまったく違う内容です。
↑そしてこちらが、マルタ名物のウサギのシチュー。トマトベースでした。時間をかけてじっくり煮込んであってお肉がホロホロで柔らかく、とても美味。ウサギは、イタリアやエジプト、チュニジアなど地中海沿岸に共通してポピュラーな食材です。
↑こちらはじっくり煮込んだ牛肉とトマトとグリーンピースのシチュー。どこかイギリスの家庭料理をほうふつとさせる味でしたが、トッピングのエッグクリームがマルタっぽいです。
↑シチューにはマルタ産の赤ワインがよく合います。ゴゾ島産のメルローは、ちょっぴり潮の香りがします。
↑こちらは、店先に置かれたマルタのリキュール類。
↑お隣には、コークのような、マルタのノンアルコールドリンクでしょうか。お店の方のマルタへのこだわりと愛着がうかがえます。
↑烏森神社に近い路地のビルの2階にあります。こじんまりとした家庭的なお店です。席数に限りがあるので、夜などは予約が必須と思われます。
カトリックのマルタ騎士団の栄光を伝える国。ちょっぴり北アフリカのテイストも
マルタは新石器時代から人が住み始めた7000年もの歴史のある国ですが、栄光の時代といわれるマルタ騎士団の領土だった頃、同騎士団の抵抗と撃退により、地中海を席巻したイスラム勢のオスマントルコの領土になりませんでした。
世界遺産にも登録されている首都バレッタは、このときのマルタ騎士団の団長を称えてその名から命名されたのだそうです。
で、そんな理由から、料理は、たとえば中東の影響を受けた近隣のキプロス島とはかなり異なっていて、マルタ騎士団と関係の深いイタリアや、その後、植民地となったイギリスの影響がうかがえて、全般的にヨーロッパ的です。
しかしチュニジアに近いだけに、スパイスなどにちょっぴり北アフリカのテイストが加えられているのが、おもしろいです。
お店のメニューにはなかったですが、本国にはホブスと呼ばれるアラビックなパンなどもあったりします。キリスト教カトリックが大多数の国にもかかわらずイスラム教国の食文化の影響がちらりと見られ、それがマルタならではの郷土色にもなっているのですね。
マルタの公用語はマルタ語と英語。地中海地方では同じく旧英領のキプロスや、英領ジブラルタルでも英語が通じやすいですが、マルタは日本では英会話を学ぶ語学留学先としても人気のようで、この日もそれらしきお客さんのグループがいらしていました。
リゾート地でもある地中海の陽光と美しい自然、安定した治安、おだやかな人々、そしておいしい料理とともに楽しく英語が勉強できそうです。
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レストラン・マルタ
東京都港区新橋2-9-17 2F
Tel. 050-5783-1423