浜名湖は100年以上の歴史を持つ、うなぎ養殖の発祥地
うなぎの背中を開いて蒸してから焼く関東風と、腹から開いて直火で焼く関西風のうなぎの調理法の境界線は、静岡の浜松あたりだといわれています。調理法には人それぞれに好みがあるにせよ、浜松といえば浜名湖のお膝元。うなぎの町でもあり、うなぎ屋さんが多いのもよく知られた通りです。
今回は、浜松駅近くにある、創業明治45年の老舗「藤田」さんへうかがってみました。50年以上も継ぎ足し継ぎ足して受け継いできたという秘伝のたれが自慢で、関東風の蒸してから焼くうなぎの蒲焼きを提供しています。
頼んだのはうな重。たれはさすがにひと味違っていており、おいしくいただきました。もちろん肝吸い付きです。
さて、うなぎ養殖では100年以上の歴史を持ち、その発祥地といわれる浜名湖ですが、近年は安い輸入品増加の影響などを受けて、養殖地、業者、生産量とも減少傾向にあり、またニホンウナギの稚魚の減少によって価格の高騰で、今では、漁獲は最盛期の1/3以下となっているそうです。静岡県の養殖うなぎの漁獲高は現在、鹿児島、愛知、宮崎に次ぐ第4位。しかも上記3県ですでに日本全体の漁獲高の約80%を占めているので、メインストリームからはちょっと外れてしまった、という感じさえします。
それでも、「浜名湖うなぎ」はブランドであり、飼育期間に1年以上をかけて丹精こめて育てる周年型のうなぎの養殖をメインに、浜名湖や天竜川といった地元で採捕されたうなぎ稚魚にも着目するという、老舗どころのこだわりがあります。
うなぎの蒲焼きは本来、スーパーで大量に売られて消費されるような類いの食べ物ではなく、多少、値段は高くても専門店で焼かれたものをじっくり味わって食べてこそ価値がある、というのが持論なのですが、浜名湖のうなぎには質の高さで勝負して、日本の代表の地位を守ってほしいな、などと思っています。