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加須うどん|埼玉県・加須

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↑加須うどんならではの「冷汁うどん」(子亀)

利根川と不動尊が育んだうどん

埼玉県の北東部にあり、栃木県、群馬県、茨城県の3県と県境を接する加須市は、田んぼの水路で茨城を除く3県境が引かれているという、インドシナならぬ日本のゴールデン・トライアングル(笑)のような大変珍しい地理環境もさることながら、市内を流れる利根川が町の歴史を作ったといっても過言ではないほど、利根川の影響を強く受けてきた町です。

というのも、加須の象徴のひとつで、成田山新勝寺、高幡不動尊とともに関東の三大不動尊のひとつに数えられることもある不動ヶ岡不動尊(真言宗・総願寺)の御本尊である不動明王像は、「暴れ川」ともいわれた利根川の氾濫による長暦3年(1039年)の大洪水で、武州の吉見領よりこの地に流れ着いたといういわれがあるからです。

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この不動明王像は、仁和8年(886年)に突然病に倒れた光孝天皇のために、弘法大師空海の甥である智証大師円珍が病気平癒を不動明王に祈願したところ、天皇の病が癒え、これに感激した天皇の勅令で円珍が刻んだものであるという、何ともおそれ多い由緒を持っています。

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そして、江戸時代になると利根川の治水が始まり、かつての暴れ川は、上流から肥沃な土を運ぶ「母なる川」に変貌。その流域も豊かな農村となって、米作のあとで裏作として小麦の栽培をする二毛作が行われるようになりました。その良質な小麦から作るうどんが、総願寺を訪れる人々にふるまわれ、「加須うどん」として今日に続く町の名物になったのです。

まさに、利根川と不動尊が育んだうどんともいえそうです。ちなみに、加須のもうひとつの名物食が、別途ご紹介する「いがまんじゅう(いがまん)」で、こちらの成り立ちも同じく、利根川の存在が大きく影響しています。

弘法大師空海といえば、香川(讃岐)が生んだ偉人であり、香川の人々は、さぬきうどんは空海が遠く中国から持ち帰ったのが始まりだと信じています。直接のつながりはないとはいえ、その空海の甥の手になる不動尊像が漂着した加須でもうどんが名物になったというのは、何だか不思議なご縁を感じてしまいますね。

さて、現在、加須では「うどんの町」を全面に打ち出し、加須手打ちうどん会によるマップ”を作成するなどして、町おこしをはかっています。加須うどんの特徴は、手打ちは当然で、小麦は地元産のものを使用していること。小麦の香りはさぬきうどんほどではないかもしれないけれど、のどごしのよさと、コシの強さの両方を兼ね備えた、「一粒で二度おいしいうどん(笑)」はなかなかのものです。

需要に供給が追い付かないため輸入小麦に頼らざるを得ないさぬきうどんに対して、加須うどんが昔ながらの地産地消を維持しているのは、大いに自慢できる点かもしれません。

加須手打ちうどん会に加盟しているうどん店は、2014年1月現在で24軒。ひとことで加須手打ちうどんといっても、お店によって少しずつ個性が違います。中でも特徴的なお店を何軒かまわってみましたので、ご紹介しましょう。

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■岡村屋
北埼玉名物のお菓子・五家宝の店が並ぶ、不動ヶ岡不動尊の門前にある、創業200年を誇る老舗。昔ながらの技法を守っているそうで、メニューに奇抜さはありませんが、こちらには一度、表敬訪問するべき。うどんののど越しのよさを味わいたいなら、シンプルなざるうどんがおすすめです。

■子亀
加須うどんならではのメニューである「冷汁うどん」の発祥店。きゅうりを添えたざるうどんを、ごま汁でいただく、これまたシンプルな夏向きのうどんですが、現天皇陛下が皇太子時代に来店されて召し上がった一品だそうで、お店にはそのときの写真も飾られています。甘めなごま汁と、透明感のある、のど越しのいいうどんが、さっぱりしておいしいです。なお冷汁うどんは冬でもお店で食べられます。

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■恵比寿家
第7回埼玉B級ご当地グルメ王で優勝したという、加須市民がみんなで考案した「肉味噌うどん」が食べられるお店のひとつ。加須うどんも進化しているのです。肉味噌うどん自体は、山梨の吉田うどんに似た感じの、昔からありそうなうどんです。特徴は、温泉たまごを乗せるところ(といっても、加須に温泉があるわけではないのですが…)。

恵比寿家さんでは、この肉味噌うどんを鉄鍋で鍋焼きにして出してくださいます。群馬に近いため”からっ風”の影響を受ける加須の冬ですが、体がホカホカ温まってありがたかったです。

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■吉野屋
加須のうどん店は駅から遠いところも多く、車がないと食べ歩きにも苦労するのですが、こちらは加須駅にも近く、ふらっと入れる便利なお店。通常のうどんのほか、冬に食べるとおいしい幅広のひもかわうどんがメニューにあり、飛びつきました。天ぷら付きで570円と値段もお手頃です。

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関東地方の多くのうどん店にいえることですが、加須でも、うどんと、そばの両方を提供している店が多いようです。そばは、小麦粉入りの白っぽいものが主流。また、つゆはしょうゆが濃いめで、特に温かいつけ麺などは、関西の人にはしょうゆが多くてしょっぱすぎると感じるかもしれません。そんな方には、冷汁うどん、ざるうどんなど冷たいうどんをおすすめします。

不動ヶ岡不動尊は前記のように、大変霊験あらたかないわれがあるのに、総願寺にあまり商売っ気がないのか、成田山や高幡不動に比べると、普段はちょっとびっくりするほどひっそりとしていて、門前町も地味。しかし、お正月の初詣や390年以上の歴史があるという節分会、9月の火渡り式には大勢の参拝者が集まり、大いににぎわいます。

2014年の節分会には松方弘樹さんや角川博さんら、芸能界の方々も来られるそうですよ。

というわけで、お不動さんの催しに併せて、うどんを食べたり、いがまんじゅうを買いに加須へ行くのがベストだと思います。

広い関東平野の真ん中にある埼玉は、昔から天変地異の少ない平穏な土地柄のためか、人も穏やか。その分、自己主張やアピール力に欠けるのかもしれませんが、加須にはうどん、いがまんじゅう、五家宝などの食べ物やお不動さんの他にも、先の珍しい3県境や、天皇陛下ご献上の鯉のぼりなど名物がいろいろあります。総願寺ではただ今「平成の大改修事業」を行っており、完成したころにはもっと観光客が訪れることを願いたいですね。