↑祇園「くらした」さんの賀茂なすの田楽
祇園祭の頃に食べられる、京都の夏の味覚
賀茂なすは、鱧(はも)と並ぶ京都の夏の味覚。直径15cmほどにもなる、へたが3つに大きく分かれた濃い紫色の丸いなす。もともと鳥羽の芹川で作られていたものが、明治のころから水に恵まれた京都の上賀茂で作られるようになり、現在では京野菜の代表格のひとつとして、上賀茂が一大産地となっています。
普通のなすとは違って、実がしまっていて固い賀茂なすは、加熱しても形が崩れにくい特徴があり、田楽や煮付けが代表的な食べ方。特に「賀茂なすの田楽」は、京都の夏の風物詩である7月の祇園祭の時期の食べ物として、この頃になると、家庭で作るのはもちろん、料亭から居酒屋まで京都のあらゆるタイプのお店でメニューに見かけるようになります。
そこで、自分で作ってみるのもいいけれど、まずは本場の味を体験してみたいと思い、祇園祭の直前の京都で、賀茂なすの田楽をお店に行って食べてみました。
訪れたのは、祇園の花見小路にある会席料理のお店「くらした」さんへ。
こちらでは賀茂なすの田楽は、本来はメニューになかったのですが、近隣にオフィスを構える心優しい京都の友人が、私が賀茂なすの田楽を食べたがっているのを知り、事前にお願いして作っていただいたものです。ランチタイムにもかかわらずこんな融通を利かしてくださって、なんとありがたかったことか…。
肝心の田楽の方は、オーソドックスなスタイルで、とろーり甘いみその味と、油のなじんだ賀茂なすが実においしかったです。プロフェッショナルなちょっとした技は、どちらも甘い白みそと赤だしの2種類のみそを使っていること。そして、飾りにはケシの実。さすが、見た目もきれいでした。
賀茂なすは1人1個の半割。。おいしいのですが、甘いみそがやや飽きてくるので、正直、分量は1人半分くらいでちょうどいいかな、という感じでした。
実際に家庭で作る、伝統的な賀茂なすの田楽のレシピは、まず賀茂なすを輪切りかひと口大に切り、菜種油を多めに鍋にしいて、なすの中まで火を通すために、揚げるようにじっくりと焼きます。次にみそに砂糖を入れて甘い砂糖を作っておき、焼きたてのなすの上に乗せてできあがりです。
お店では、飾りにケシの実をかけているところが多いようですが、白ごまでもいいと思います。温かいものだけでなく、冷たくしたものもおいしいそうですよ。
都会で暮らしていると、どうも食の季節感が薄れてしまうのですが、ときどき京都に行って、日本料理の醍醐味でもある季節の味覚を味わうのはいいものですね!