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ひっつみ|岩手県・盛岡

ひっつみ

滋味たっぷりな朝市の味

水で練って固めた小麦粉をひっつまんで(つかんで)鍋に投げ入れることから名がついた岩手の郷土料理「ひっつみ」。盛岡を含む岩手県の北上盆地ではこう呼ばれ、県北では「とって投げ」といわれる、すいとんの一種の汁料理です。岩手県南部や宮城県、茨城県などでは「はっと」の呼び名も。米が大切だった昔、米の節約のために食べられていた日常食でもありました。

と、そのひっつまんですいとんを投げ入れる様子を、どこかで見てみたい…と思い、見つけ出したのは、盛岡市の繁華街から離れた住宅街にある「神子田(みこだ)」の朝市。こちらの朝市には、その名も”噂のひっつみ”という地元でも評判のお店が出ているらしい、とのことで盛岡まで行ってみることにしました。

盛岡駅から中央循環線バスの茶畑停留所で下車し、バイパス沿いを徒歩10分ほど。昭和43年から前身を経て始まったという神子田の朝市は、藩政時代には盛岡市内のいたるところにあった朝市の現存する最後のひとつで、毎朝5時から年間300日の営業という、日本一アクティブな朝市でもあるそうです。観光地化されていない、何とも東北のローカル色あふれる、のんびり、こじんまりとした市場で、地元のお母さん、お父さんたちが取れたての新鮮な野菜やきのこ、乾物などを安価で販売しています。そしてラーメンやおでん、かけそば、へっちょこ団子を売る甘味処といった食べ物屋さんもちらほら…。

その中でも、大勢の人でひときわにぎわっていたのが、目指すところの「噂のひっつみ」のお店でした。正式な店名「木偶の坊」さん。お父さんがすいとんをゆでる役、お母さんが汁の味付けをしたり、盛り付けする役割分担で、丁寧に手をかけながらもてきぱきとひっつみを作り上げ、お客さんにその場で作りたてを食べさせてくれます。お父さんが、すいとんをひっつまんで鍋にぽんぽんと投げ入れる姿は、まさにひっつみの語源の通り。

さて、実際に食べてみると、すいとんは、山梨のほうとうのようなつるっとした食感とはちょっと違い、厚手のワンタンのように、もっとモッチリとして噛みごたえのあるものでした。油揚げとねぎのトッピングに、すべて朝市のものという、ささがき切りのにんじんやごぼう、大根などの野菜のだしが溶け込んだ、煮干しだしのみそ味の汁が滋味たっぷりで実においしく、体もポカポカと温まります。冬場ならいっそうおいしく感じるはず。備えつけの”七味にんにく”を入れると、さらに風味が引き立ちました。1杯350円也。

それに、ひっつみのおいしさもさることながら、「化学調味料を使っていない自然の味なんだけれどね」と、慎ましくも自信たっぷりに語りかけるお父さん、お母さんの朴訥な岩手訛りと、優しい笑顔がまたすてきなのです。訪れる老若男女のお客さんが口々に「おいしかった」というのを聞くうれしい気持ちが表情からにじみ出ていて、傍で見ている私まで幸せな気分になってしまうほどでした。朝市ばんざい!

なお、朝市の営業は8時半までですが、ひっつみは売り切れて店じまいになる前になるべく早めに行った方がよいかと思います。訪れたころはちょうど、岩手を舞台にしたNHKの朝の連続ドラマ「あまちゃん」が放送されていたのですが、番組が始まる8時前には、ほとんどのお店が撤収してしまっていました。

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