箱寿司|大阪府・大阪

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時間がたってもおいしさが変わらないお寿司

ひとことで「寿司」といっても、日本全国には、にぎり寿司やのり巻き寿司だけじゃない、いろいろなお寿司が存在します。そしてその寿司ワールドは、かくも奥深い。特に関西では…。

と、関東育ちの私も、子供のころは、お寿司といえば、新鮮な魚介をにぎった江戸前寿司しか知りませんでした。

ところが、大阪発テイクアウト寿司のチェーン「小僧寿し」のお店が家の近くにあり、メニューの中のばってら寿司(鯖の押し寿司)が飛びぬけておいしく感じて、ばってら寿司しか買わなかったことを思い出します。これが、大阪寿司との初めての出会い。大阪のお寿司屋が無理して江戸前寿司を作らなくてもいいのに、などとこまっしゃくれたことを考えながら(笑。現在「小僧寿し」は、東京に本社を移しています)、いつか大阪で本場の押し寿司を食べてみたいと思っていました。

で、願いをとげたのは、実はつい最近です。大阪には何度も行っているのですが、タコ焼きやらお好み焼きやらイカ焼きやら、また大阪だけにある各国料理レストラン(笑)を食べ歩いてばかりで、押し寿司にまで到達しなかった次第。ところが、郷土料理百選の大阪代表のひとつが、タコ焼きでもお好み焼きでもない、箱寿司(押し寿司、大阪寿司ともいわれる)であり、それが江戸前寿司の原型でもあったことを知り、老舗を見つけて食べに行くことをついに決意しました。

事前にいろいろ調べたつもりなのですが、昔ながらの箱寿司を専門に扱っている老舗のお寿司屋さんは、大阪でもあまり多くありませんでした(よくわかっていないだけかもしれませんが…)。梅田界隈のデパートの食品売り場に行っても、江戸前寿司の方が目立っていたのが意外。箱寿司は見た目以上に下ごしらえなどに手間がかかり、どうしてもコストが高くなるので、本場の大阪でも店舗は減りつつある、という残念な話も聞きます。

そんな中で探し出したのが、天保12年創業の船場の吉野寿司さんと、文政12年創業の心斎橋の本福寿司さん。前者の吉野寿司さんは、もともとアジやサバなどの安い魚を使った大衆的な食べ物だった大阪寿司に、タイや穴子などの高級魚を用い、美しく洗練させた箱寿司を創作して大阪寿司の基礎を築いたといわれる由緒ある店。あちこちのデパートなどに出店しています。

で、どちらも行ってみたかったのですが、今回は、訪問日に営業していた本福寿司さんを訪ねることに。

心斎橋にある大丸百貨店の真裏、大阪らしいアーケードの一角。ひときわ古風な店構えが目を引きました。ランチの箱寿司、大阪寿司(箱寿司+のり巻き)は各1200円と、お値段もなかなかお手頃。具は穴子に、タイに、たまご焼き…。しっかりかだどってあるのに、ごはんのふっくら感が残っているが印象的でした。

新鮮なネタが勝負で、もともと江戸のファストフードとして発展したぱくっとすばやく食べる江戸前寿司に対して、大阪の箱寿司は、ふんわり感を失わないよう手間ひまかけたすし飯と、具の味が決め手。おもてなし料理としてかみしめながらゆっくり味わうのが特徴で、時間がたってもおいしさが変わらない点は、お弁当にもぴったりです。

本福寿司さんの店頭にはお持ち帰り用の大阪寿司や箱寿司のセットが、宝石箱のようにショーケースいっぱいに陳列されていました。東京のお寿司屋さんではなかなか見られない光景で、しばし見とれてしまったのでした。

大阪寿司はあまり全国展開していませんし、お好み焼きやタコ焼き、串焼きといった大阪の強力なB級ご当地グルメに隠れて地味な存在かもしれませんが、食いだおれ天国のかの地に行ったら、大阪の伝統、生粋の箱寿司も忘れずにぜひ一度!

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