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どんがら汁|山形県・庄内地方

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寒ダラを余すところなく使った、庄内の冬の風物詩

厳寒の日本海の荒波にもまれた、脂の乗ったタラをぶつ切りにし、とうふや野菜と一緒にみそ味風味で煮た「どんがら汁(寒ダラ汁、タラ汁とも)」は、漁師鍋がもとになった、山形県庄内地方の冬の風物詩でもある名物料理。どんがらとは、タラの頭やヒレ、肝、しらこといったアラのことで、身よりもアラが主役の料理です。

どんがら汁は、2014年1月に行われた水産庁らの後援による全国の魚料理選手権「魚の国のしあわせ Fish-1 グランプリ」で、見事、優勝の快挙をなしとげました。

1月から2月にかけての寒ダラのシーズンには、庄内地方のあちこちで「日本海寒ダラまつり」が開催されます。そこで1月25、26日に行われた、祭りの規模のもっとも大きい発祥地でもある、酒田の寒ダラまつりに行ってきました。

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関西に連なる北前船の寄港地であり、また最上川舟運によって内陸から運ばれる米の集積地でもあった酒田は、江戸時代に「西の堺、東の酒田」と呼ばれたほどの商業都市として栄えた港町。大阪の堺を模して町づくりがされたともいわれています。かつて日本一の大地主といわれた本間家のお膝元であり、私財を投じて酒田発展に尽くしてきたことから、本間家は今も酒田では英雄的な存在です。

一方で酒田は、過去に大地震や、1年を通して風が強いことから大規模な火災による被害を経験してきました。近年では、1976年に市の中心部1800棟近くを焼く大火が発生。しかしながら死者は1名のみ、また火災の翌日から「火災復興都市計画」が発令されてわずか2年半後に見事、復興を成し遂げました。もともと関西と縁があったこともあるのか、この件が阪神淡路大震災の際に復興モデルにもなったといわれています。

町の中心は焼けてしまいましたが、全国でも他に例がないといわれる、武家屋敷と商家造りの建築様式が一体となった本間家旧本邸(音が鳴るので注意)や、米の積出港としてにぎわった酒田の歴史を今に伝え、NHKドラマ「おしん」にも登場する山居倉庫などの名跡は火災から逃れ、今も酒田を訪れる人々の目を楽しませてくれます。

さて、寒ダラまつりの方は、きれいに復興された市街地にある、中通り商店街を中心に開催。厳寒に半そで姿の若者たちの雄姿がまぶしい酒田北前太鼓の生演奏や、海の男の演歌がまつりの雰囲気を盛り上げます。魚市場では、タラ(マダラ)が一匹まるごと販売されていて、その大きさに驚きました。特におなかのふくれたメスは豪快な姿で、「たらふく(鱈腹)食べる」の語源になったというのも、思わず納得。

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どんがら汁は、各種団体によるそれぞれの自慢の味付けで販売。1杯500円均一。少量の身のほか、あぶらわた(肝)、だだみ(しらこ)など寒ダラを余すところなく使い、トッピングに岩のりが必ず入っています。これらがないと、どんがら汁のおいしい風味が出ないのだそうですが、もちろん、しらこや肝のプリプリの食感も格別!地吹雪と呼ばれる雪まじりの庄内の冷たい風も一瞬忘れてしまうほど、ほかほかと体が温まりました。

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庄内地方では昔から、寒ダラを食べると風邪を引かないといわれ、冬の間に1度は必ず食膳にのぼるのだそうですが、確かに寒さを吹き飛ばすようなパワーフードです。

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そして、地元の人はもちろん、県外からの団体観光客も訪れているためか、「食の庄内」のアピールもしっかり行われていました。特に「食の都・庄内」親善大使寒鱈フェスタと称した催しでは、4人の地元の有名ホテルの総料理長らに交じって、いつか行きたいと思っていた、世界的に活躍する鶴岡のイタリア料理レストラン「アル・ケッチャーノ」オーナーシェフ奥田政行氏がおられて、びっくり。

奥田シェフの”クラムチャウダー風どんがら汁”の限定販売には長蛇の列ができていましたが、がんばって並んで無事ゲットし、ワインをきかせていい味を出していたクリーミーな洋風どんがら汁を堪能させていただきました。

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お祭りでは他にも、玉こんにゃくや岩ガキ、干した庄内柿、魚沼産こしひかりよりもおいしいとアンケート回答もあったという庄内米「つや姫」などなど、庄内地方のおいしい味覚がズラリ。短い冬の日中にぎゅっと凝縮して、庄内の食の魅力を味わうことができました。

庄内地方は、かつては秋田県南西部と連なった羽後国に属しており、同じ山形県でも、羽前国と呼ばれ山脈によって隔たれた内陸の山形市や米沢とは食文化に違いがあり、今もその影響が残っているのがおもしろいところ。山形名物の芋煮が、山形市周辺ではしょうゆ味・牛肉なのに対して、庄内ではみそ味・豚肉であることなどがその代表的な例です。

ちなみに、山形市でもどんがら汁を提供する店はありますが、庄内に比べるとぐっと少ないです。酒田では、お祭り以外の期間でも、酒田港にあるさかた海鮮市場の2階の食堂などで食べることができます。酒田だけでなく、庄内のもうひとつの主要都市・鶴岡などでも食べられます。

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2月11日には、鶴岡市東京事務所による寒ダラ祭りが東京でも開催されるそうですよ。現地に行く時間のない方も、極上の味・どんがら汁をぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。