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あなごめし|広島県・宮島

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世界遺産・厳島神社のある宮島の名物食

「あなごめし」は、世界遺産に登録されている厳島神社のある安芸の宮島の名物食。かきと並んで宮島の特産だったあなごを焼き、たれを少し混ぜたごはんに乗せた、漁師料理がもとになった昔ながらのシンプルな一品です。

上写真は、各地で行われる全国駅弁大会の上位入選の常連でもある、JR宮島口近くにある明治34年創業のあなごめし専門店「うえの」のあなごめし。あなごはうなぎよりも低カロリーで高たんぱく、栄養価も高い魚といわれていますが、それを蒸さずに、カリッと焼いた白焼きに甘辛いタレをかけた、あっさり、さっぱり味。土日に行列に並ぶ覚悟があれば、店内でアツアツごはんのどんぶりで食べることも可能です。

お弁当でも店内で食べても価格は同じ1470円ですが、お弁当の方は、経木の折箱に詰めた焼きたてのあなごと炊きたての味飯が、冷めていくうちに味がはっきりとしておいしくなり、両者それなりの味が楽しめるのだとか。

確かに、横浜の崎陽軒のシュウマイ弁当のように冷めてもおいしく、駅弁向きです。広島に向かうJRの車中で瀬戸内海をながめつつ、あなごとごはんをかみしめながら、旅情とともに幸せな気分を味わわせていただきました。

うえのでは、大正中期まで使用されたという、あなごめし駅弁の包装紙の復刻版が使われている。他にも別時代のレトロな包装紙あり。

うえのでは、大正中期まで使用されたという、あなごめし駅弁の包装紙の復刻版が使われている。他にも別時代のレトロな包装紙あり。

漁獲高が減少している宮島付近のあなご

ただひとつ気になったのが、パッケージ・シールのあなごに”天然国産・天然韓国産”と表示があったこと。つまり、使っているあなご(マアナゴ)は宮島付近産だけではないらしい(ですので、wikipediaのあなごめしの項にある「昔から、地元地御前で、網でなく一本釣りで釣れた穴子だけを直接漁師から買い付けている」という表記は正しくありません)。

瀬戸のあなごの旬は夏と冬で、冬から春にかけては禁漁の時期もあるそうですが、富山のますずしに使うサクラマスなども、漁獲高減少のために北海道産や外国産が使われているという昨今。宮島でも同じことが起きているのだろうかなどと案じつつ、うえのさんのご主人の声を聞くと、こうありました。

「今、うえのには宮島周辺であなご漁を続けながら、当店に届けてくれる魚屋と漁師が数店、数人いますが、真冬の1月から4月末までは、あなご筒漁は禁漁期となり、地あなごは、延縄(はえなわ)の漁師だけの少量の入荷となります。

瀬戸内海のあなごの旬は梅雨あなごといわれるほど、雨の恵みの河川河口の磯でたくさん涌く餌の恵みで旨みを増していきます。同じ条件で、江戸前のあなご、兵庫県加古川のあなごなど昔からの産地が讃えられています。すっかり漁の水揚は減少しました。

しかし今も変わらず広島湾にも確かにおいしいきめの細かい繊細な味のあなごがおり、その存在こそ、ここ広島であなごを取り扱う老舗の矜持でもございます。

いつか先代が言ったように、ここ宮島瀬戸の内海からあなごがいなくなれば、そしてあなごの漁師の生活を守れなくなった時が暖簾を下ろす時でしょう。

今日もあなごの本来の味とあなご料理がいかされて愛されていくことを求めています。ここ宮島の地にあり、あなご漁を営む者たちを支えながらも、韓国、黄海棚の極上のあなごにもこだわり、一世紀を越えて受け継がれたあなごの持つ旨味が判ることを頼りに地元のあなごの味を識る4代目主人としてその味への矜持を持ち宮島のあなごめし弁当を繋いで行きます」。

あなごの産地については、宮島付近の他のあなごめし店でもおそらく同様の状況だと思われます。厳島神社が世界遺産に登録されて観光客がさらに増えてからは、あなご不足の傾向がより顕著になっていることでしょう。

うなぎと同じく、昔から日本人になじみのある魚の割には生態に不明な点が多かったあなご。これからも宮島の名とともに、あなごめしがずっと名物食でいられることを切に願いつつ、あなごへのこだわりを守る宮島の人々を頭の片隅に置いて郷土食を味わいたいものですね。

海にそびえる厳島神社の鳥居。

海にそびえる厳島神社の鳥居。

「うえの」さんの店頭。休日は行列必至。

「うえの」さんの店頭。休日は行列必至。

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宮島と観光友好都市提携を結んでいる仏モン・サン=ミシェルの名物料理は?

ところで、厳島神社を有する宮島は、「海に浮かぶ世界遺産であること、信仰の聖地として1000年以上の歴史があること、それぞれの国を代表する観光地であること」など大きな共通点があるフランス・ノルマンディー地方のモン・サン=ミシェルと観光友好都市提携を結んでいます。

モン・サン=ミシェルの名物といえば、あなごめしならぬ、メレンゲのようにフワフワの巨大なオムレツ(下写真)。あまりにも大きすぎて、日本人なら2~3人で1皿頼むのがちょうどいいといわれるほどです。あいにく駅弁にはなっていないようですが(笑)、宮島の「うえの」に相当するような現地のオムレツの有名な老舗「ラメール・プラール」が、何と2011年、日本(東京・有楽町)に支店をオープンさせました(現在は横浜・みなとみらいにも支店あり)。

あちらからシェフが来日したときにお話をうかがったら、このオムレツを作るにはちょっとした熟練の技が必要だ、などとおっしゃっていましたが、あなごめしと同様、一度は本場に行って食べたい味です。

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また、個人的には、インド・ムンバイの近海にあるシヴァ信仰の中心地で世界遺産の石窟群を有するエレファンタ島あたりも、宮島、モン・サン=ミシェルに共通する条件を満たしているので、ぜひ仲間に入れてあげてほしいところ。ちなみにエレファンタ島でよく売られていたのは、炭火で焼いたコゲの香ばしい「とうもろこし」。カレーづくめのインド旅行の日々に、ホッとする一品でした。