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南インド旅行記(2004年)5 ペリヤル 

南インド旅行記

スパイスの宝庫を訪ねて

いよいよ、今回の旅のメインスポット、世界的に名高いスパイスの産地・ペリヤルです。

その昔、ポルトガルの航海者バスコ・ダ・ガマは、コショウを求めてヨーロッパを旅立ち、アフリカ大陸をぐるっと廻ってインドまでの新航路を発見しました。そのガマが到着したのが、ケララ州マラバル海岸にあるカリカット(現コジコーテ)でした。

マラバル海岸沿いには、ガマの求めたコショウの実が自生しており、現在は、ケララ州の内陸部にある山岳地帯の高原で栽培されています。このあたりは、コショウのほかにも、バニラやカカオ、コーヒー、お茶(ニルギリ茶)など、良質なスパイスや農作物が栽培されている、まさにスパイスの宝庫なのです。

ペリヤルは、その高原にある街のひとつ。街には、たくさんのスパイス・ショップが軒を連ね、少し山に入れば、いろいろなスパイス・ガーデンを訪ねることができます。また現在は、日本の軽井沢のような、お金持ちの避暑地として、リゾートホテルも少なくないようでした。

ペリヤルへは、トリヴァンドラムやコーチンからバスで行くことができます。私たちは、トリヴァンドラムからローカルバスを乗り継いで行くことにしました。平面地図で見るとさほど遠くないように思えたのですが、実際は、山岳地帯をおんぼろバスでぐるぐると巡っていく、けっこうハードな旅。結局、ペリヤルにたどり着くまでに約8時間かかったのでした。

フラフラ状態で到着したものの、ペリヤルは、スパイスが大好きな私にとって、まるで桃源郷=シャングリラのようでした…。こんな山奥なのに、外国人(西洋人)がけっこういて、私たちも、ポルトガルからスパイスの買い付けに来たという御曹司と知り合いました。現代版バスコ・ダ・ガマかしら(笑)。

スパイス屋
スパイス屋さんの店内
スパイス屋2
ソニーもスパイスを?(笑)
スパイス
こんな風に売るお店も
スパイスポイント
スパイス・ポイント

街では、地元の観光局の方がおすすめする店でスパイスを買い、さらに、アブラハム・カルマカルさんの経営するスパイスガーデンを訪ねました。アブラハムさんはスパイス業で成功され、今は息子さんに代を譲って、悠々自適でスパイスガーデンを開業されている方。スパイスについての知識や、キッチンで奥様にお料理をいろいろ教えていただきました。

名前から察せられるように、キリスト教徒のアブラハムさん。だから、牛肉はご法度ではないそうですが、「このあたりじゃあまり手に入らなくてねぇ」と、こそっと冷蔵庫から肉を出すところなどを見ると、ちょっとだけ背徳感があったりするのかな。

アブラハムさんのスパイス農園では、大きなクモを飼って、クモに害虫を食べさせるという、ユニーク手法の無農薬栽培を、長年、続けられているそうです。新鮮なオーガニックのスパイスを使った奥様のお料理は、とびきりのおいしさでした。日本で売られているスパイスって、すでに枯れてしまったスパイスだったんだなぁ。

スパイスガーデンの植物たち

バニラ
バニラの実。ケララ産のバニラは、マダガスカル産以上の品質で、非常に高価なのだとか。
カカオ
カカオの実
熟したカカオ
熟したカカオの実
パパイヤ
パパイヤ
とうがらし
大きなとうがらし
コショウの実
コショウの実
ケララのオレンジ
ケララのオレンジ
?
なんの実だろ?
アブラハム・ファミリーと
アブラハム・ファミリーと

ペリヤルには、ワイルドライフ・サンクチュアリや、南インド独特のカタカリ・ダンスの劇場などもあって、スパイスに興味がなくても、滞在するのは楽しい場所です。

今回はほんの短い滞在でしたが、何週間でも泊まりたい場所でした。とはいっても、先のスケジュールがあるので、しかたなく、後ろ髪を引かれる思いで、再び窓ガラスのないローカルバスを乗り継いで、次なる都市コーチンへ向かうことにしました。

南インド旅行記
「コーチン~南インドの市場を探訪」に続きます。

Yurico AOKI
青木 ゆり子

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、料理&旅行コラムニスト、「世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー」館長、内閣府認定 公益社団法人 全日本司厨士協会会員、世界司厨士協会連盟会員。

雑誌記者、企業のWEBディレクターを経て2000年にサイト世界の料理 総合情報サイトe-food.jpを創設。以後、執筆、講師、レシピ開発、在日大使館や大使公邸でのシェフなどを通し、国内外の郷土料理に秘められた魅力を広め、おいしい食べもので日本と世界を相互につなぐ社会貢献を目指して活動。

著作:「しらべよう!世界の料理」全7巻(図書館選定図書 ポプラ社 2017)
「日本の洋食 ~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房 2018)

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