e-food.jpの理念

e-food.jpはこんな理念で運営されています

「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」がスタートしたのは2000年3月。

長年多くの方々に支えられて、おかげさまで2020年に20周年を迎えることができました。

サイト創設以来、代表の青木ゆり子がこれぞ理念と考えているのは

「各国地域の人々に長く愛されてきた郷土料理の魅力を広め、食で国際交流と平和、相互理解への貢献を目指したい」

「視野を広げることで、日本の食文化のすばらしさを多くの人々に再発見してもらい、失われつつある伝統料理を守りたい」

といったことです。 特に、欧米的な目線のメジャーな情報に埋もれてしまいがちな、知られざる優れた食文化をいとおしく感じ、正当に評価されてほしいと願っています。

日本ではとかく国内・海外と分けがちですが、客観的に見ると日本は世界の一部であり、両者の文化はつねにつながってきたことを再確認していただまけすと幸いです。

そして、各地の地方色豊かな伝統料理の情報をきちんと整理し、フィールドワークに基づいた、上質で正しく、わかりやすいオリジナル・コンテンツを愛情こめてお届けすることで、郷土料理ファンを増やしていければと思っています。

なおサイトでは便宜上、国ごとに分類することもありますが、料理や文化は、国家のような政治的な区分よりも「地方」を優先するべきと考えています。

食文化を学び、語るには、食べもののことだけでなく、歴史や地理、宗教、民族性、社会などを総括的にふまえることが大切です。それは、たとえば過去のペルシア帝国やローマ帝国の影響など、現在形成されている国家の枠をいったん取り外して、地方ごとに考えた方が理解の深まる場合もあります。

なぜ郷土料理に着目したのか?

ところで、このようなサイトを運営していると、「なぜ郷土料理なの?」とよく聞かれます。

郷土料理は、栄養価計算などなかったはるか昔から、人々が元気に暮らせるように、その土地ならではの食品や調理法で、栄養バランスよくおいしく食べてもらおうと各家庭で伝承されてきた「愛」のある食べ物です。

それに気づかされたのは、「大統領の料理人」というフランス映画に感銘を受けたことがきっかけでした。

この映画は、フランスのミッテラン大統領の専属料理人に抜擢された女性シェフの実話なのですが、彼女が得意としていたのが、まさにフランスの郷土料理。

一国のリーダーがこよなく愛し、パワーの源にしていたのはミシュランの三つ星レストランの料理ではなく、子どものころから食べてきた故郷のおふくろの味だったという事実に、えもいわれぬ魅力とポテンシャルを感じたのでした。

日本の政治家にも同様のエピソードが伝えられています(例えば新潟の郷土料理「のっぺ」をこよなく愛した田中角栄さん)。

また、ある国で日本大使館の晩餐会へお招きいただいたときにうかがった「大使館は、その国らしい最高の料理でゲストをもてなさなければならない」という大使のお言葉が、今も心に強く残っています。

『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』という書籍も出版されていますが、晩餐会のメニューには意味があり、そこに込められたゲストへのおもてなし心は、外交を左右するツールにもなり得るもの。

ここでも、郷土料理が重要な役割を果たしてきたことに一種の畏敬の念をいだくのです。

郷土料理の危機を救い、その価値に注目

しかし、伝統的な郷土料理は今、危機に瀕しています。

ハンバーガーに代表されるような、世界中のどこでも似た料理が手軽に食べられる一方、田舎町などに行くと、住民の高齢化と過疎化を目の当たりにして、地方色あふれる伝統食が失われてしまうのではないかと危惧する場面にたびたび出くわします。

これは日本に限ったことではありません。どうにかして、このすばらしい地方の食文化と、それを支えてきた人々を守り、助け、消滅の危機を救う役に立てないものだろうか。

一方、発展途上国の地方などで信仰を守りながら自然とともに慎ましく暮らす人々や、農業が盛んで活気に満ちあふれている田舎町などに出逢うと、私たちが経済発展の中で忘れてしまった食生活の価値について考えさせられ、ハッとすることがあります。

たとえば、放し飼いにした鶏の卵や手作りの漬物、育った牧場がわかっている畜肉といった、流通の見える安全な食品。そして、限られた土地の食材で家族が喜ぶおいしく健康的な料理を作る工夫の見事さ…。

また、世界にはさまざまな土着の宗教がありますが、多くに共通しているのは、「食べものは人間の心身を作るものだから、大切に考えなさい」という教えです。イスラム教のハラールやユダヤ教のコーシャといった食規定も、本質はそこにあります。

信仰はともあれ、そんな普遍的な生活の知恵というべき食の根本を、改めて見直してもいいのではないか。日本人だって、このような食への価値観をもともと大事にしてきたはずなのだから。

郷土料理に着目した理由には、そんな思いもあります。

食は、人と人とが理解し合える最高のコミュニケーションツール

さて、「どの国の料理が一番、好きですか?」というのもよく聞かれる質問です。これに対しては、私は「和食です」と答えています(笑)。

日本の郷土料理ってすばらしい! 日本人特有の鋭い味覚とおいしさへのこだわりに、もっと自信を持っていいはず…。

いろいろな料理を知って、あの国の料理を好きになったり、この国の料理に感激したりするのですが、それでも結局は、自分の生まれ育った故郷の料理が最高だなぁと思ってしまうのです。

それは、自分のアイデンティティを再認識する瞬間でもあります。

「故郷のおふくろの味が一番」。たいていのどんな人も同じことを思うのではないでしょうか。

「青い鳥」のチルチルとミチルや「オズの魔法使」のドロシーのように、遠く外の世界へ冒険に出て、視野や見聞を広めてからもとの場所に戻り、”わが家”ともいえる日本の食文化を、もっと深く知って、好きになりたい。

そして、日本の食文化の魅力を海外の人々に紹介したい。「食は、人と人とが理解し合える最高のコミュニケーションツール」のひとつであり、最高のおもてなしになり得るのだから。

中でも、お国自慢でもある郷土料理は、単においしいかどうかとは別次元で、言葉や信仰、習慣の違いを超えて人々と幸せをつなぐ最強アイテムなのではないか。今、世界の料理に関わる個人的な動機を突き詰めると、そんな思いがあります。

日本食を世界にアピール

ところで「世界の料理」というと、これまでは海外経験や外国料理の知識の豊富さだけがモノをいうと思われる傾向にありました。スタンプラリーのようにこんなにたくさんの国を旅した、料理を習ったといった誇示や模倣がインターネットにはあふれています。

しかし、再び東京でオリンピックが開催されるような時代に、そういうのはもう古いんじゃないか。今やその気になれば誰でも外国に行けるのだし、知識だけなら海外発信のリアルな情報をネット検索することもできるのだから。

「自分の国のことを知らずして世界を学ぶなかれ」と私はよくいうのですが、海外の食文化を学んだり紹介するだけでなく、まず地に足をつけて日本食についてきちんと理解し、世界の人々にアピールしていく姿勢もこれからは必要だと思うのです。

「e-food.jp」という.jpドメインには、”日本を発信地に、世界へ”といった想いを込めています。

2017年に「しらべよう!世界の料理」全7巻(ポプラ社)という本を出版したとき、第1巻の冒頭でまず日本の食文化を取り上げたのも、そんな気持ちを伝えたかったからでした。

誰もが大切にしていて、明日の糧となる元気をくれるソウルフード=「郷土料理」。

e-food.jpでは、食という万国共通の身近なキーワードを通じて、日本と世界の人々を相互につなぐ社会貢献を、流行に左右されることなく、地道に続けていきたいと考えています。

2020年1月 e-food.jp代表 青木ゆり子

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