ソマリア国旗 ソマリア / ソマリランドの料理

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遊牧民の伝統を持つソマリ族の国

アフリカ大陸の東部にあり、エチオピアやジブチ(旧フランス領ソマリランド)、ケニアと国境を接し、その国土の形から”アフリカの角(つの)”とも呼ばれるソマリア。20世紀はじめに北部をイギリスがイギリス領ソマリランドとして、南部をイタリアがイタリア領ソマリランドとして統治しました。1970年にソマリ族の国として南北統合されたものの、現在は、内戦のため再び分断。南部は無政府状態で荒れ果てており、そのうちの北東部分に当たるプントランドは氏族による自治政府を樹立(しかし、海賊で悪名を馳せている)。そして、北部はソマリランド共和国として独立を宣言しました(ただし、国際的には広く認められていない)。ソマリランドは、各氏族ごとに長老たちに率いられて暮らしてきたソマリ族の伝統を取り入れた政治で、アフリカの中では比較的、奇跡的に安定政権を保っているといいます。
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ソマリア
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ソマリア地図ソマリランドの住民には、「ソマリアとは別の国」という意識がすでに芽生えているようですが、いずれの地域も内陸は砂漠の広がる領土のため、一族で組織化される遊牧民的な伝統を持ち、イスラム教徒の多いソマリ族の伝統は共通しており、料理も類似しています。

ソマリ族の人々は、カンジェロ(Canjero)という平たいパンや、レバーの入った雑穀やコーンミールのお粥ラクソー(Laxoo)を朝食とし、昼にはソースや、時には羊や山羊、鶏、ラクダ、牛肉などの肉を添えたごはんや、パスタ(イタリア統治時代の影響でパスタがすっかり定着している)をお昼にしっかりと食べ、夜は、マッフォ(Muffo)というオーツ麦やとうもろこしでできたパテや豆類、サラダなどの軽い食事で済ませるのが一般的です。

ちなみにごはんは、バスマティ米を使用してカルダモンとシナモンで味付けされた、バリース(Bariis)という料理として食べられることも。

また、北部ソマリアでは、エチオピアの影響を受けて、スポンジのようなパンのアンジャラ(インジュラ)や、固ゆでたまごを添えた鶏肉シチューのドロワットバルバレ(Berbere)という辛いとうがらしのペーストといったエチオピア料理も。エチオピアなどへの海の玄関口といわれるベルベラ港があるソマリランドの海岸地帯では、対岸のイエメンの文化の影響を受けて、豆と肉を調理したマラク(Maraq)などのイエメン料理、さらに、ケニアなどでもポピュラーな、インドの三角形の揚げスナックのサモサ(現地ではSambusasと呼ばれる)も食べられています。

全体的に、ソマリ族の食事は、高たんぱく低カロリーのヘルシーなものが多いといえそうです。

ほかに、なつめやしの実や、バターを精製したギーで調理されたコーヒー豆、ファティラ(Fatira)という、はちみつをかけて食べる小麦粉やたまごで焼いた大きなパンケーキ、チェチェブサ(Chechebsa)や、とうもろこしの粉のパンケーキのラフー、スプーンですくって食べるスパイスとはちみつ入りの小さなパンケーキなど穀物粉を使ったおやつが豊富です。

飲み物は、スパイス入りのお茶がポピュラー。また、羊や山羊、ラクダの乳もよく飲まれます。ラクダの群れとともに遊牧する氏族の男性は、1日に最高9リットルのラクダの乳を飲むともいわれます。ハーンという木製の容器に保存すると、ミルクは暑さの中でも何日も持つことができるのだそうです。ソマリ族の人々は、この乳を振ってバターにしたり、発酵させてチノー(Jinow)という固形ヨーグルトを作ります。

ちなみにソマリアでもイスラム教徒たちは、アルコールを口にしません。


■参考文献
「国マニア」吉田一郎著(交通新聞社)



ソマリア

面積63万7,657k㎡
人口約900万人
首都モガディシュ Mogadishu (ソマリランドの首都はハルゲイサ Hargeysa)
住民ソマリ族(ハム系)が大多数。ダナキル族
言語ソマリ語、英語、アラビア語、イタリア語
宗教イスラム教(スンニ派)が大多数
建国1960年7月1日 (イギリスとイタリアより独立)

※ソマリランドは、1991年6月にソマリアからの独立を一方的に宣言した、旧イギリス領の地域。国際的には国家として承認されていないが、ソマリアとソマリランドは全く別の国と認識している住民も多く、また、無政府状態の続くソマリアと違って、部族の長老の意見を取り入れたアフリカ型の政権で、政治的に安定しているといわれる。


■この国の料理&文化がわかる本
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