ジンバブエのワイン


前回は南アフリカ共和国とナミビアのワインに関して触れてきましたが、もうひとつの南部アフリカの主要ワイン生産国が、現在、世界最悪の独裁国家として、また経済崩壊の国として報道されているジンバブエ共和国です。

ワインの生産が開始されたのは、現在の南アフリカ共和国ケープ州にあたるケープ植民地の首相セシル・ローズの開発から英領南ローデシアとなった時代までさかのぼります。ジンバブエとして独立する1980年より前の1950年代には、マタベレランドと呼ばれる地域でワインの生産が始まっています。この頃のワインはセミ・スウィートが多かったようですが、現在のジンバブエ・ワインは南アフリカと並び、多くのぶどう品種を育てています。その中心となっているのは東部Moshonaland East州の州都MaronderaにあるMukuyu Wineryです。

最近私が確認しただけでも赤ワインはピノタージュ種、ピノノワール種、ガメイ・ノワール種、カベルネ・ソービニョン種、メルロー種等で6銘柄、白ワインはマスカット・オットネル種、リースリング種、シャルドネ種、シュナンブラン種、ソービニョン・ブラン種、コロンバール種等で11銘柄、そしてセミ・スウィートのロゼを2種生産しているとのこと。このワイナリーはジンバブエでも歴史のあるワイナリーのようで、1970年代にはカリフォルニアからの専門家の技術協力もあり、そのクオリティーはより高くなってきています。

昨今の急激な経済悪化や悪政蔓延ほどの悪化にいたる以前も、ジンバブエの経済は決してよいとは言える状況ではありませんでしたが、ジンバブエ・ワインを知る一部の欧米諸国からはそのクオリティーが経済環境の影響を受けず維持されているとの評価が得られていました。しかし昨今のムガベ政権下でのここ数年の急激なインフレや経済悪化、コレラの発生は今後のワイン生産を考える上では危惧せざるを得ない要因となっています。

なお1月10日(土)のe-food.jp新年会&アフリカワイン・テイスティング・パーティーではZimTradeという、ジンバブエの会社から試飲用に預かっているMukuyu Wineryのワインを2本ご提供しました。内容としては赤ワインがMukuyu 2005 Cabernet Merlot(ぶどう品種:Merlot,Cabernet Sauvignon)、白ワインがMukuyu The MEADOWS ESTATE ?L’Etoile 2007 Semi Dry(ぶどう品種:Muscat Ottonel,Riesling)です。

なお、ジンバブエではこの他にMaronderaより東部のManicaland州の州都Mutareでもワインを生産しているようですが、今のところ詳細はつかめておりません。

さて、その他の南部アフリカ地域のワインですが、インド洋側に目をむけるとマダガスカル、フランス海外県レユニオン、モーリシャスではワインの生産が確認されています。が、これら島嶼部のワインはアフリカ南部というくくりでは正しくないかもしれませんので別の機会にご紹介したいと思います。ただ、マダガスカルのワインは旧宗主国フランスの影響もあってか高い品質を誇っています。是非詳細をご案内し試飲していただける機会を作りたいと考えています。

では島嶼部以外の他のアフリカ南部地域はどうでしょうか?一部の情報のみで未確認ではありますが、ジンバブエに近いところではモザンビーク、ザンビア、タンザニアに隣接した小国マラウィでワインの生産が行われているという情報もあります。詳細が分かり次第ご案内ができればと考えています。

また情報はありませんがジンバブエの隣国モザンビークでもワイン生産が可能な地域があります。先にご案内したジンバブエのワイン生産地域Manicaland州は東側をBvumba山地を隔ててモザンビークManica州と接しており、両州は共にショナ族の生活している地域です。

モザンビーク西部の高原地帯であるManica州はジンバブエManicaland州とは気候風土を共にして同じ民族が暮らしている地域であると同時に、ジンバブエの首都ハラレからモザンビーク第二の主要港ベイラとの中間にある州都シモイオChimoioには鉄道・道路が横断しており、近年のジンバブエからの難民もここを通過してモザンビーク側に来ていることも考えられるので共通のぶどう生産環境があり、生産している可能性があるのではないでしょうか?旧ポルトガル領であった地域ではワインを生産する傾向もありますし、仮に現在生産されていなくても今後輸出産品として生産される可能性もあるのではないでしょうか。

またそういった意味では南アフリカに囲まれた国レソト王国等も国産ワインの生産ということも考えられます。レソトは周辺の南アと比べると標高が高くぶどうの生産環境が疑問視される声もありますが、近年のワイン生産技術の進歩やイタリア北部やスイスでワインが生産されることや、中国の雲南省やチベットにワインがあることを考えれば何も不思議なことではありません。むしろまもなく南アフリカ共和国でワールドカップが開催されることを考えれば、観光客誘致の一環の産業としても考えられるのではないかと思います。

様々な国や地域がその地域にあったワインを生産すれば、(もちろん、他の食文化や飲料、お酒も含めてですが)その土地を訪れる楽しみがまたひとつ増えると思うのです。

そんなことを考えながら私はワインが様々な人たちの手によって生産されることを願っています。


※この記事は、e-food.jpのメールマガジン「世界料理通信」2008年11月-2010年4月に連載されたコラムを加筆・訂正・更新したものです。


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