タンザニアのワイン


ブラックアフリカの意外なワイン

ワインの生産地といったらまずヨーロッパ、南北アメリカ、そしてもちろん日本を思い出す方が多いと思いますが、実はもっと世界中のあちこちで生産されています。

意外なところでは、一見ワインとは無縁そうなブラック・アフリカ。外務省の後援で行われた2008年の「アフリカ2008キャンペーン」以来アフリカ各国を紹介するイベントも多くなり、また昨年のサッカー・ワールドカップが南アフリカ共和国で開催されたこともあり既にアフリカのワインを口にされた方も多いと思います。

※左写真は、いずれもタンザニアのセタウィコ社(CETAWICO Ltd.)のワイン。

南アフリカのワインはニューワールドワインとして既に紹介されていますが、日本人にとっては「えっ、こんな国で!」と思うところでも生産されているものです。ヨーロッパの資料でも一番情報が少ないのがアフリカのワインなので、なかなかお目にかかれないのですが…。

アフリカにワインが伝播したルートは2通りが考えられます。まず、ヨーロッパと同時に伝わった地中海沿岸国やキリスト教を通して根付いたエチオピア等のダイレクトな伝播。もうひとつは、ヨーロッパにより植民地化される過程での普及です。後者には入植した白人により生産されたもの(その最たる国は南アフリカ)、混血したクレオールが維持していったもの、そして白人の手を離れて現地で独自に発展していったものなどがあります。

私が飲んだもので、驚かされたのはタンザニアの(法律上の)首都ドドマで生産されたワイン。情報も少なく日本でも紹介されていなかったのですが、思った以上にクオリティの高いものでした。高地にあるドドマは、もともとワイン用ぶどうの生産には適した気候。ドドマでワインの生産が開始されたのは1938年で、1957年にはカソリック御受難修道会[La Congregazione della Passione di Gesù Cristoイタリアで創設された修道会で日本では兵庫県宝塚市に本部あり]ビハワナ神学校Bihawana Seminaryの神父Irioneo Maggioniが葡萄の苗木を植え現在に至る生産が始まったようです。

私の飲んだものはタンガニーカ・ヴィンヤードTanganyika Vineyardsのムクトゥポラ・レッドMukutupora Redという銘柄【前号でエチケット画像紹介】で葡萄の品種も書かれていませんでした。ムクトゥポラMakutuporaとはドドマ都市郡Wilaya ya Dodoma Mjin/Dodoma Urban districtにある地域名で、1969年にはムクトゥポラに農務省が葡萄園研究教育センター【VRTC:Vineyard Research and Training Centre】に隣接して国営葡萄農園を設立し、1970年代にはワインの生産量が増えてドドマ地区開発会社Dodoma District Development Corporation (DODIDECO)に引き継いでいるというところからもドドマ州でも主要な生産地であると思われます。また生産品としてシュナン・ブラン種Chenin Blancと並んで Makutupora Redが記載されているものを見かけましたので主要銘柄(地品種?)のひとつであると思われます。

2008年以降のイベントで駐日タンザニア大使館等によりワインが紹介されているケースではラインナップも増えて数種類の銘柄が展示されていましたが、いずれもセタウィコ社CETAWICO Ltd.のワインでした。 CETAWICOとはCentral Tanzania Wine Companyの略で2002年にドドマ都市郡のホンボロKata ya Hombòlo/Hombolo wardに設立された会社でテロルデゴ種Teroldego、マルツェミーノ種Marzemino、アリアニコ種Aglianico 等のイタリア品種とシラー種Syrah を使った“Sharye”(赤) “Presidential”(赤) “Rosier”(ロゼ)とシュナン・ブラン種Chenin Blanc100%の“Chenin Blanc”(白)他全10銘柄のラインナップがあり、より高いクオリティが期待できるワインであると思われます。

2009年1月10日にe-foodで開催しました新年会&アフリカワイン・テイスティング・パーティーでタンザニアワインTanganyika Vineyards・Mukutupora Redをご提供した時には駐日タンザニア連合共和国大使館のご厚意のおかげで皆さんに試飲していただくことができましたが、その後日本でタンザニアワインが販売されるようになっていないのは非常に残念なことです。イベントに際してワインのご提供に協力をいただきました駐日タンザニア連合共和国大使館及び他国ワインをご提供いただいた関係者の方々には御礼申し上げたいと思います。

先頃セネガルの首都ダカールで日本の協力で行われているアフリカ開発会議(TICAD)の閣僚級会合が開催されましたが、日本との関係が強まる中で多くのアフリカ料理店等でアフリカ料理とともにアフリカ・ワインが堪能できることを期待したいと思っています。


※この記事は、e-food.jpのメールマガジン「世界料理通信」2008年11月-2010年4月に連載されたコラムを加筆・訂正・更新したものです。


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