ナミビアのワイン


アフリカのワインといったら今では真っ先に南アフリカ共和国のワインがあげられるようになりましたが、現在程輸入量が増えポピュラーになったのはアパルトヘイトを掲げるボタ政権からデクラーク、マンデラ政権へと続くアパルトヘイト撤回が始まった1990年代に入ってからです。南アフリカ共和国をはじめとする南部アフリカはその気候からかヨーロッパ系の入植が進んだ地域でもあり、今回は南部アフリカのワインについて触れてみたいと思います。

まず、南アフリカ共和国のワインですが、ステレンボッシュStellenboschやKWV社のあるパールPaarl等最南部の西ケープ州を中心とする地域でのワイン生産が盛んで南アフリカ・ワインとして日本で飲まれているものはほとんどがこの地域のものです。

南アフリカを代表する葡萄品種・ピノタージュPinotageも1925年にケープ州(現・西ケープ州)ステレンボッシュでピノ・ノワールとサンソー(南仏で生産される葡萄で南アではエルミタージュの名で呼ばれる)を交配して生まれたもので、この品種を始め安価で飲みやすいものから最近では高品質なワインまで多くのラインナップを揃えています。南アフリカの温暖な気候故に他の地域でも葡萄の生産は可能で、以外なところだと北東部のクワズールー・ナタール州産のものもあり、気候や土壌から国内の他の地域でもワインの生産は可能かと思われます。

南アフリカの他の地方ワインの情報はまだ多く得ていないのですが、更に南アフリカの周辺国でも白人入植者による統治時代があった地域を中心に南アフリカに近い気候条件を活かしワインの生産は行われていました。

そのひとつがナミビアのワインです。1884年に植民地としてドイツ領南西アフリカが成立して以来南アフリカ連邦委任統治領・南西アフリカ、南アフリカによる併合時代を経て1990年にナミビアとして独立した国。ドイツ統治時代に遡るワインの歴史があり、19世紀の終わり南西アフリカ首都ウィントフック郊外でカトリック教会の聖職者によってワインが生産された記録が残っているそうです。当時は白ワインが中心でその他に穀物・ハーブ・果物等から作る蒸留酒シュナップスも生産していといいます。銘柄として「Katholischer」という名前が使われていたことも記録に残っていますが、1960年代に生産は中止されたようです。

そして1990年のナミビア独立を契機に小規模ながらワインの生産が再開されはじめました。首都ウィントフックから西にあるエロンゴ州オマルル地区Omaruru, Erongo Regionではヘルムートクルーゲ氏Helmuth Klugeによりコロンバールとルビーカベルネ (黒葡萄の1品種で、カリニャンとカベルネ・ソーヴィニヨンの交配種)により「Krystall Kellerei」という銘柄でワインが生産され、南部ハルダプ州マリエンタルMariental, Hardap Regionの西にあるMaltahöhe近郊ではアレンウォーケン-デイビス氏Allen Walken-Davisの農場でシラーズのブドウ園が作られ(おってメルローも生産される)、年間3,000本を生産する『砂漠の中のオアシスの奇跡のワイン』と言われる「NEURAS Namib Wine」という銘柄のワインも生産されています。

前者の「Krystall Kellerei」はワイナリーが今年のアフリカ年イベントでお会いしたナミビアの商務担当の女性の実家に近いそうで、生産量は少ないが良質なワインであると話してくれました。後者の「NEURAS Namib Wine」の場合には1996年にアレン氏がこの地を初めて訪れた時は数年来の干ばつで大半の植物は死に絶えていたそうですが、20世紀初めにドイツ人入植者が耕した農地の地質断層から水が湧き出し、栽培されていた食用の葡萄が太く枝を伸ばしたため、愛着を持ちワイン用葡萄農園を手掛けたということです。ちなみにブランド名であり農園名である「Neuras」は地元のコイサン系のナマ語で「見捨てられた土地」の意味があるとか。

ナミビアにはその他に北部オチョソンデュパ州オタヴィOtavi,Otjozondjupa Regionにもベルトゥス氏Bertus Boshoffによるワイナリーがありシラーズ、ヴィオニエ、ピノタージュを生産しており、ベルトゥス氏の家族が近くに別に農園を持ちシラーズ、カベルネ・ソーヴィニョン、ヴィオニエ、ムールヴェードル、テンプラニーリョ、シャルドネの生産をはじめているそうです。現地へ観光に行きワイナリーやワイナリーが経営する宿泊施設に行くとダチョウ肉のケバブやゼブラステーキと共にワインが味わえるところもあるといいます。

日本ではまだ味わえないワインですが、ナミビアへ行かれる機会があれば是非ワインもご賞味されることをお薦めします。


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