ミラノ万博リポート2 【日本館を訪ねて】

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行列のできる万博で2番目に人気のパビリオン

「ミラノ万博で紹介された納豆がイタリア人に大ウケしている」。

イタリア渡航直前に出席した”発酵仮面”こと小泉武夫先生の講座で、小泉先生がこんなことをおっしゃっていたので、ひゃあ、ついに本家イタリアでも納豆スパゲッティが普及する日が来るのか、などと妄想していました。

もっとも、茨城県の水戸納豆のメーカーがヨーロッパ向けに開発した納豆は、臭いも糸引きも控えめで、小泉先生いわく「納豆は臭くなくっちゃ」ということなのですが…。

と、それはともかく、健康にいい発酵食品の宝庫である日本食が、和食の世界遺産登録に伴って、イタリアでも高い関心を持たれているのは確かなよう。それは、巷の書店に”スシ”のレシピ本が並んでいるように、万博の日本館への人気ぶりにもうかがえました。

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↑イタリアの書店に並ぶスシの本の数々。

日本館のパビリオン入場は、平日でも40分待ち。待ち時間の長さは、次回の万博開催地ドバイのあるUAE(アラブ首長国連邦)に次いで、ドイツ館と並ぶ第2位の人気です。

日本、ドイツ、イタリアといえば、かつて三国同盟を結んだ仲でもありますが、何でもスローで、周囲をハラハラさせていたイタリアを差し置いて、早々とパビリオンを完成させていたのが日本館とドイツ館だったとか…。両国のきっちりした国民性をうかがわせて愉快ですね。

特に日本館は、印象的な立体木格子の建物と、日本の47都道府県名をつづった日本酒の酒樽のオブジェとともに、待ち時間の表示とともに、お客さんにイタリア語で丁寧に呼びかける、日本人スタッフのキメの細かいケアが印象的でした。

うーん、イタリアにいても、日本っぽい心遣いがさすが!

「共存する多様性」をテーマに、展示や映像で日本の食文化をアピール

さて、日本館のアトラクションは、自分の国であるというひいき目でなくても、行列に並ぶ価値があるほどよくできていると思います。

テーマは「共存する多様性」。日本人が、自然と共生する多様な農林水産業を礎にしてきたこと。また、米を主食とし、うま味や発酵技術を活用しつつ、魚介類や野菜など様々な「食」を享受し、自然の叡智を謙虚に取り入れながら、高度な伝統工芸技術・職人技を食器や調理器具、食空間にまで反映させ、豊かな「食文化」を築き上げてきたことを、多様な日本食の美しい展示と、”フューチャー(未来の)・レストラン”と称する参加型のバーチャルなライブパフォーマンスで表現しています。

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↑スシ、みそ汁、おにぎりなど、数々の多様な日本食を美しく展示。

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↑上写真3点は、日本館のメインイベントでもある、フューチャー・レストランの様子。バーチャル・メニューから好きな和食を選び、箸を使って操作していく。ステージにはMCが登場し、映像とともに司会・進行させていく。

ライトがピカピカな近未来的なレストランのセットとは裏腹に、日本の伝統的な食文化を伝え、「四季の食材を使って健康にいい」などのアピールをこめた映像はインパクトがあって、きっと多くのイタリア人やその他の国の人々の心に響いているはず。

私自身も、異国で日本の田舎を思い出させる映像を観ながら、外国の方が感心しているのを目にして、思わずうるっとしてしましました。

日本館のアトラクションには行列しないと入れませんが、併設されたレストランには別口から並ばずに入ることができます。出店しているのは、京懐石の「美濃吉」のほか「壱番屋」、「柿安」、「モスバーガー」、「人形町今半」、「京樽」など。

限られた時間中に万博内で食べるレストランの優先順位を考えると、ここで日本食を食べなくてもいいかなと、私はパスさせていただきましたが、隣接した広場や、建物外で行われる、日本酒試飲や各都道府県の文化紹介関連のアトラクションはぜひチェックを。

iPhoneとAndroidに対応している体験型日本館アプリを事前にスマホ等にインストールしておくと、いろいろと便利です。

日本館はとにかく毎日混雑しているので、できれば朝一番で向かうのがおすすめ。また万博は23時までオープンしていますが、日本館の最終入館案内は19:00~20:00までですので、注意が必要です。

ミラノ万博会場では、毎日、異なった国々のナショナルデーのイベントが行われるのですが、日本のナショナルデーは7月11日。立ち会えなくて残念でしたが、この日はきっと日本が最高に盛り上がることでしょう。

お次は、日本以外の各国パビリオンで食べられる世界の料理等についてお届けします。


→・ミラノ万博リポート3【世界の料理の数々】
 ・ミラノ万博リポート4【会場のアトラクション】
 ・ミラノ万博リポート5【実用的な情報まとめ】
に続く

←・ミラノ万博リポート1【はじめに】
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