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愛媛県の養殖魚「愛育フィッシュ」


養殖魚のイメージをくつがえす、高品質の真鯛とブリ

2月3日、赤坂の「とゝや魚新」さんで開催された、愛媛県と”あの人の「美味しい」に出会う”ぐるなびippinのお膳立てによる、愛媛県の養殖魚「愛育フィッシュ」の試食会に参列させていただきました。

養殖魚というと「大量生産」とか「いけすに閉じ込められた魚」といった言葉が思い浮かび、天然ものを比べて正直、ありがたみの薄いイメージがありました。しかし、日本の養殖魚技術は今や、ある意味、天然ものを超えたといっていいくらい進化しているという現状をうかがい、興味津々。

というわけで、百聞は一見(一食?)にしかずとばかり、その場でミシュラン掲載店でもある「とゝや魚新」の”魚料理の達人”、村松料理長の手で調理された愛媛産の「戸島一番ブリ」「愛鯛」を試食させていただいたのですが、ネガティブな養殖魚のイメージがまさに崩れ去った思いでした。私もびっくりしましたし、同席された他のキュレーターの方々も一様に驚いておりました。

まずは魚の身そのものの味わいを、ということで、両者の刺身を出していただいたのですが、フレッシュで臭みもなく、そして何といってもかみごたえがすばらしい。

本当にうまい養殖真鯛を、の合い言葉で作られた「愛鯛(あいたい)」

愛鯛の方は、真鯛の養殖量が日本一という愛媛県の中でも最高品質だそうで、「味」「歯ごたえ」「身質」「栄養」「鮮度の持続」といった要素を考慮した餌の配合や養殖環境を整えているという成果が、味にも表れていました。「本当にうまい養殖真鯛をつくろう」を合い言葉に漁協の枠を越えて集まったという、まさに愛媛の漁業の底力を集結してできた傑作です。

愛媛の宇和島には「鯛めし」(島根県松江の「鯛めし」とは全く違う料理)という生の鯛を使った独特な郷土料理がありますが、愛鯛の安定供給で、おいしい鯛めしが全国で食べられるようになると、宇和島の食文化のPRにもなりそうです。

手塩にかけて育てられた、さっぱりした身の「戸島一番ブリ」

また、「戸島一番ブリ」の方は、富山県の氷見などで獲れる脂の乗った寒ブリとは違い、温暖な気候の愛媛らしいさっぱりとした食感が印象的でした。宇和海に浮かぶ戸島の人々が手塩にかけて育てたこのブリは、すでに一部で大変な反響があり、今シーズンは売り切れが続出しているとか…。

国外ではブリはグリル用の魚と一般的に思われていますが、これだけ新鮮で臭みがないのなら、新しい味わいと食感を持った寿司や刺身のネタとして、海外にも広く提案できそうです。

またブリの身は、レモンやオレンジなどのかんきつ類と相性のよいことで知られています。ぜひ愛媛のもうひとつの名産である、みかんやデコポン、または宇和島の国産ブラッドオレンジと合わせたレシピを開発して一緒にPRするとよいのでは、などと思いました。

地元の人々の魚への愛情と品質へのこだわり

魚の養殖は日本全国で盛んに行われていますが、豊後水道に面し、リアス式海岸をのぞむ愛媛県の宇和海側は、魚の身を引き締める、日本でも有数のおいしい魚が獲れる特別な環境に恵まれています。

縄文時代からその地で育まれ、江戸時代には鯛が幕府への献上品だったといわれる宇和海沿岸の漁業の長い歴史は、地元の人々の誇り。そこには、単なる養殖ビジネス以上の魚への愛情や品質へのこだわりを感じ、それは「いけすに魚を詰め込みすぎずに、周囲で昆布の養殖をする」など、クリーンさを保つための漁場環境などへの配慮からもうかがえました。

ぜひ、日本を代表する養殖魚のブランドとしてよい形で名を広めていけることを願いつつ、自分もそのお手伝いをできることがあれば幸いです。

profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、「世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー」館長。

2000年にサイト「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」を立ち上げ、以後、執筆、講師、レシピ開発、在日大使館や大使公邸でのシェフなどとして、食で日本と世界を相互につなぐ社会貢献をモットーに活動。
プロフィール詳細
著作:「しらべよう!世界の料理」全7巻(ポプラ社 2017)


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