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そぼろ納豆|茨城・水戸


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水戸ならでは納豆を使った伝統食

弥生時代に遡るはるか昔から日本人の常食として受け継がれてきた、納豆。蒸した大豆を稲わらに包み、稲わらに付着した納豆菌を大豆に移して増殖、発酵させて作る、日本を代表する健康食品でもあります。

納豆の本場といえば、多くの日本人が真っ先に思い浮かべるのが、茨城県。特に県庁所在地の水戸は、水戸黄門こと徳川光圀公や偕楽園とともに、納豆で知られた町であり、水戸駅前には、稲わらの中で黄金に輝く豆がまぶしい(笑)納豆の記念碑が建立されているくらいです。

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さて、健康食ブームに乗ったためか、かつては納豆を食べないといわれていた関西でも、最近はずいぶん浸透したそうで、今や日本全国ほぼどこでも売られるようになりました。

しかし、平安末期からの納豆製造の歴史を誇り、風味のいい小粒納豆の産地だったことから駅で売られる土産物として全国に広まったという水戸には、他所には見られない納豆を使った伝統食があります。納豆と切り干し大根をしょうゆなどで味を付けて漬け込んだ「そぼろ(しょぼろ)納豆」は、そんな水戸ならではのごはんのおかず。納豆というよりも漬物に近い感覚の、納豆を日持ちするように工夫した保存食であり、昔は水戸の各家庭でかめに漬けて作っていたといいます。

現在は、水戸の有名納豆店がこぞって、そぼろ納豆を販売しています。そこで、主要な会社のものを3点ほど買いこんで、味比べをしてみました。

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水戸納豆の代名詞にもなっている、明治維新の魁となった水戸藩の尊皇攘夷派”水戸天狗党”から名前を取ったという「天狗納豆」は、水戸藩士出身の笹沼清左衛門が明治22年に興したブランド名。現在は「元祖」と「総本家」と称する2社が天狗納豆のブランドを名乗っていますが、まずはこの2社から…。

■天狗納豆総本家(笹沼五郎商店):調味料は控えめで、豆の味が際立っている。切り干し大根が苦め。

■水戸元祖天狗納豆:笹沼五郎商店よりもやや味が濃いが、切り干し大根の味がまろやかで、食べやすい。

そしてもう一点、梅干しを主に扱う創業80余年の根本漬物の「水戸藩伝承 そぼろ納豆」。上記2店は、ちょっとかしこまった独自店舗などで売られていたりするのですが、こちらは地元のスーパーで売っている、いかにもローカルの方向けの一品。調味料は甘みが濃いめですが、普段食べるにはなじみやすい味で、値段も安い(上記2つの天狗納豆の2/3程度)のが気に入りました。

まあ、味付けは人それぞれの好みですから、自分がおいしいと思ったものを選べばよいかと思います。

ところで、世の東西を問わず、発酵食品=臭いのが定説であり、納豆もしかり。日本に来た外国人にもよく恰好のネタにされているのはご存じの通りです。私などは、「納豆を食べた」と聞いただけで、垣根が取り払われたかのようにその人にぐっと親近感がわいてしまうのですが…(笑)。

もっとも、臭いといっても、この世にある数々の発酵食品の中では、納豆の匂いはまだまだ序の口のようです。

ワールドワイドに展開している旅行クチコミサイト「トリップアドバイザー TripAdvisor」の”世界のくさくておいしい食べ物”によると、臭度をあらわす単位Auでは、「納豆」や「鮒ずし」は意外にも500Auに満たず、「くさや」の2/3程度。世界でもっとも臭い食べ物は、スウェーデンの「シュール・ストレンミング」(ニシンの塩漬けを缶の中で発酵させたもの)だそうで、8000Auを上回る、何と納豆の20倍近い強烈な臭さ!この広い世界、上には上があるのですね(笑)。


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profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、「世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー」館長。

雑誌記者、企業のWEBディレクターを経て2000年にサイト「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」を創設。以後、執筆、講師、レシピ開発、在日大使館や大使公邸でのシェフなどとして、食で日本と世界を相互につなぐ社会貢献を目指して活動。
プロフィール詳細

著作:「しらべよう!世界の料理」全7巻(ポプラ社 2017)
「日本の洋食 ~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房 2018)

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