ふく料理|山口県・下関

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ふくのメッカ、下関の唐戸市場を訪ねて

二つの陸地にはさまれた狭い水域を”海峡”(または”水道”。英語ではchannelまたはstrait)といいますが、海峡には古今東西、海流にもまれて身のしまったおいしい魚の特産地が少なくありません。たとえばドーバー海峡の舌平目やボスポラス海峡のサバ、日本国内なら豊後水道の関サバや鳴門海峡のマダイなどなど…。

本州の下関と九州の門司にはさまれた関門海峡の特産の魚といえば、ふく(本来は”ふぐ”だが、不遇、不具と読むのを嫌って縁起よく”ふく=福”と呼ぶ)。食中毒による死亡事故も珍しくない毒を持つ魚でありながら、ずんぐりして、怒るとぷっくりとふくれる愛嬌たっぷりのふくは、下関では江戸時代から祝儀に用いられ、愛されてきました。

高たんぱく・低脂肪の白身魚で、東日本では料亭等で食べる高級魚のイメージが強いですが、西日本の方が庶民にも比較的ポピュラーな魚で、近年は下関近海だけではなく、全国の漁場で獲れたふくが下関の唐戸市場を中心に集積されています。

唐戸市場は、関係者だけでなく、一般人も安くて新鮮なおいしいふく料理が食べられる、まさに「ふくのメッカ」。ふくの旬は一般に「秋の彼岸から春の彼岸まで」といわれますが、そこで、市場で働く人々のために早朝から開いている店を目指して、下関駅からバスを乗り継ぎ、10月上旬の市場を訪ねてみることにしました。

と、その前に、市場の目の前にある、”世界一のふくの像”を祀ってある下関の氏神さま「亀山八幡宮」にお参りに行きましょう。氏神祭の日の早朝には、宮司さんや下関ふく連盟の方々による魚の奉納の祭事も見られますよ。

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日本ならではの清潔さをともないながらも、アジアらしい活気に満ちた唐戸市場でまず目指すのは、市場の2階で朝6時からオープンしている「市場食堂よし」さん。ふく料理の定食は、ボリュームたっぷりの天ぷらか、少量ながらも吟味されたお刺身です。

どちらにしようか迷いましたが、新鮮なふくの味がダイレクトに楽しめそうなふくお刺身定食(魚あらの煮付けとみそ汁、お新香、ご飯付き)を選択。ドーバー海峡の舌平目(イギリス側ではフィッシュ&チップス、フランス側ではムニエルに)も、ボスポラス海峡のサバ(”サバサンド”ことバルック・エキメックに)も、現地で生を味わうことはできないのですから(笑)。

ちなみに、ふくお刺身定食の価格は1100円と、お店のメニューの中ではお高めながらも十分にリーズナブルだと思います。

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もし定食のボリュームにもの足りなかったら、市場の1階に降りて、ワンコインで買えるふく汁やふくフライなどを食べ歩くことも可能。まさに”ふく天国”を満喫できるのです(笑)。他に、うに、いくら、まぐろ丼なども売られています。

そして市場の建物の外に出ると、間近に関門海峡や関門橋が…。気持ちのいい潮風とともに、旅情をそそるすばらしいシチュエーションを、食事と一緒にぜひ楽しんでみてください。

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