トビウオのすり身を使った山陰の郷土食
あご野焼き(あご=トビウオ+野焼き)は、巨大なちくわのような形をした、鳥取西部や島根県の出雲地方沿岸部の郷土食。農水省の郷土料理百選では鳥取県の代表になっていますが、トビウオが島根県の県魚に指定されていたり、鳥取が松葉がにのイメージに押されているためなのか(?)、どちらかというと松江を中心とした島根の郷土食という印象が強いように見受けました。
見た目はちくわでも、かまぼこに近いしっかりとした食感。旬である5~7月の初夏のあごを使ったものが上物とされ、あごのすり身の甘さと、ぷうんと香る地伝酒と呼ばれるお酒の風味がとても美味です。嘘かまことか、あごの由来は「あごが落ちるほどうまいから」といわれているとか。
今回購入したのは、元文3年創業の松江の「長岡屋 茂助」さんの直営店。魚店が母体で旬のあごしか使わず、また機械を使わず手作りに徹底するこだわりを持った老舗です。
駅などのみやげもの店で売られているあご野焼きはまさに値段も味もピンキリで、長岡屋さんの製品はお値段の高い部類なのですが、食べ比べると明らかに味が違います。あご野焼きのほか、あごを焼かずに蒸した白っぽいあごす巻や、あごのすり身にたまごを加えて焼いた巻玉子もおいしいです。
山陰に行かれましたら、ぜひ質の高いあご野焼きを選んでみてください。