南粤美食|中国・広東料理|横浜中華街


シェフの故郷の味を堪能!

昨年6月に横浜中華街にオープンした広東料理レストラン「南粤美食(なんえつびしょく)」で行われた、アイチーさんが主宰をされている「中華地方菜研究会」の【第16回】広東中山(广东中山)編に参加させていただきました。

香港やマカオ、「食在広州」として知られる広州で名高い広東料理ですが、中国の広東省は実はけっこう広くて、省内には地方色豊かなさまざまな郷土料理があります。

今回は、かの孫文の出身地で、「南粤美食」のオーナーシェフの故郷でもある中山(ちゅうざん)市で食べられている家庭(家郷)料理を「中華地方菜研究会」のために特別に作ってくださるとのことで、ワクワクしながら出かけた次第。

上写真は、通常でも食べられるお店の看板メニュー「東江塩焗鷄」(丸鶏の塩蒸し焼き)。東江は広東省を流れる川の名前です。ちなみに店名の「粤」は、広東省の略称。

中山市は、アイチーさんいわく「省内沿海部の中央に位置することからか、広東料理の各流派の要素が交差し、ゆたかな食文化が形成される地」とのことで、いっそう期待がふくらみます。


↑干しソーセージと香菜の入った「小榄炸鱼球」。中山市北部の小榄地区の郷土料理。タイの魚のすり身揚げ「トートマンプラー」にそっくりな味でびっくり。

で、アイチーさんによると「この地区では菊も名産。明代の頃に開かれた「菊花会」にて、この「炸鱼球」を菊花の上に載せた「菊花炸鱼球」がお披露目されたところ、海外へ広く知れ渡り、その風味は東南アジアで進化をとげ定着していったよう」とのことで、まさにトートマンプラーの元祖だったのですね!


↑「发菜煲猪展肉」。「髪菜=發財(財を成す)」と発音が近いことから、中国で縁起のいい食べ物とされる藻の一種と、豚すね肉のスープ。まるで髪の毛のようなこんな珍しい海藻、初めて食べました。


↑「沙溪扣肉」。豚肉とタロイモを交互に重ねたボリュームのある料理。市西部「民田地区」の郷土食。


↑「百花酿豆腐」。エビを乗せた豆腐の料理で、市中南部「五桂山区」の客家の郷土料理だそうです。

「客家人の元の居住地である中原地方は面粉食(小麦粉)が多く、餃子をよく食べる習慣があったのだけれど、移り着いた南方では小麦が少なく、代わりに豆腐を使った餃子が食べられるように。今回は上に食材を載せたスタイル。もっと餃子に近い、豆腐の間に食材をはさむ方法も。またエビ以外に挽き肉などを使うこともある」(アイチーさん)とのことです。へええ!


↑「莲藕焖鸭」。市西部「民田地区」の郷土料理である、アヒル肉と蓮根としょうがの煮込み。食材の切り方もワイルドでした。

「原型は「子姜焖鸭」という、しょうがとアヒル肉の料理。そこに今回、厨師のご提案で、広東料理では擦ったものを主に常用される食材「レンコン」を追加。薄切りながら大きな塊で入るしょうがが特徴で、それも食べます」(アイチーさん)。


↑切り口がきれいにそろった「炒油菜」。アブラナ科の野菜の芥兰(カイラン)を炒めたもの。


↑「咸鱼茄瓜煲」。咸鱼とナスの土鍋煮込み。土鍋焼きのグツグツ感がたまりません。


↑煲仔饭2種。干しソーセージと干し肉を使った「腊肠腊肉」(手前)と、咸魚(ハムユィ)とひき肉蒸しハンバーグと干し肉入りの「咸鱼肉饼腊肉」。こちらはお店の通常メニューで食べられます。


↑当初のメニューになく、お店からのサービスの「三鲜水饺子」。具材は、蝦・にら・豚肉です。こちらも通常メニューにあります。もちろん手作り。お腹いっぱいでも、おいしいので食べてしまいます(笑)。


↑そしてデザートは、広東のママの味「南瓜玉米羹」。とうもろこしとカボチャのとろみのある、温かいスープデザート。シェフの奥様が作られたそうで、甘くやさしい味わいでした。


↑「南粤美食」のオーナーシェフと奥様。本当にどれもおいしかった。吃饱了〜!(よく食べました=ごちそうさまでした!)


↑お店は横浜中華街のランドマーク、ローズホテルの真向いです。


↑朝陽門からもほど近い場所です。

横浜中華街では珍しい広東の家庭料理

横浜中華街で広東の家郷料理といえば、老舗の「天龍菜館」あたりが鉄板でしたが、新規店ではちょっと珍しいと思います。

大陸的にどーんと大皿で出てくるのが豪快さがあっても、しょうゆ味ベースの多い料理は、日本人にもなじみ深く、また食べたくなる味。もちろん、また行きます!(笑)

横浜中華街も最近は、中国メインランドの人たちによる安価な「オーダーバイキング」がすっかり幅をきかせていますが、シェフのこだわりを感じる、ていねいに作られたおいしい中華料理を食べたい!と思うこともあります。

食べ放題が儲かるのはわかりますけど(笑)、広東省だけでも、順徳、恵州の客家、潮州料理など、日本でまだまだ知られていない、個性的なおいしいローカルな郷土料理があるのですから、ぜひさらなる出店を期待したいものです。


南粤美食
神奈川県横浜市中区山下町165-2 INビル
Tel. 045-681-6228

profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、「世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー」館長。

2000年にサイト「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」を立ち上げ、以後、執筆、講師、レシピ開発、在日大使館や大使公邸でのシェフなどとして、食で日本と世界を相互につなぐ社会貢献をモットーに活動。
プロフィール詳細
著作:「しらべよう!世界の料理」全7巻(ポプラ社 2017)

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