豊富なココナツと魚、新鮮なスパイス
南インドのアラビア海沿岸に細長く位置するケララ州は、2000年以上も前からヨーロッパやアラブ、東地中海諸国から来た貿易商を受け入れ、その文化の影響を受けてきました。熱帯性の気候と降雨量、肥沃な土壌に恵まれ、ココナツやバナナ、米、さとうきび、コショウなどのスパイスをはじめとする農産物が豊富で、さらにアラビア海での漁業も盛ん。インドでもっとも質の良い魚がとれるともいわれているほどです。また、ケララはインド伝承医学アーユルヴェーダのお膝元でもあり、冷涼な山岳地帯で数百種の薬草が採集されています。
↑ケララのミールス
そんなケララの気候風土を反映して、料理にはココナツをベースに新鮮なスパイスがふんだんに使われ、料理の種類も豊富。ミールスと呼ばれるバナナの葉の上に、主食のごはんと、いろいろなおかずを乗せて食べる定食がポピュラーです。スパイスや黒こしょうやカルダモン、カレーリーフ、コリアンダーシードなどを多用。高位カーストのヒンドゥー教徒の菜食料理もあれば、キリスト教(ケララにはシリア・クリスチャンが多い)やイスラム教徒の非菜食料理もあります。
代表的な料理は、ケララ・マトン・フライや、魚とココナツソースを煮込んだミーン・モーリー、シリアン・クリスチャンの肉入りシテゥ(シチュー)など。ドーサやイドゥリー、サンバル、プットゥといった、他の南インドの州で食べられている料理もポピュラーです。