ハイデラバード料理

ハイデラバード

イスラム藩主による料理

ハイデラバードはテランガーナ州(2014年にアーンドラ・プラデーシュ州から分離)の州都であり、興隆から400~500年とインドでは比較的新しい街。現在にいたる礎は、16世紀のクトゥブ・シャーヒー王国と、続くムガール帝国の支配時代を経て、1724年から1948年まで、イスラム教徒のニザーム・アル・ムルク殿下によって建国され、インド独立前までインド最大の王侯国として栄華をきわめたニザーム藩王国(ハイデラバード藩王国)の時代に築かれました。その料理は、アーンドラ・プラデーシュ州の土着民族であるテルグ族等のスパイス使いをもとにしながら、トルコやアラビア、ムガール帝国という、イスラムの影響を受けています。


↑ハイデラバーディ・ビリヤニ

ハイデラバードの名物料理といえば、何といっても、トルコのピラフの影響を受けたビリヤニ(スパイス味の炊き込みご飯)ハイデラバーディ・ビリヤニ。バスモティライスを使い、具はマトン、ラム、鶏肉の塊入り、野菜といくつかのタイプがありますが、マトンがもっともポピュラー。ニザーム藩王国時代には、王は客人に26種類ものビリヤニを供したといわれています。ただし、ナワブと呼ばれるニザーム藩王国の貴族たちの間では、門外不出のレシピも多かったとか。

もうひとつ有名なものは、肉とレンズ豆、小麦粉で作ったおかゆのようなハイデラバーディ・ハリーム。イスラム教のラマダン時の定番で、アラビア由来の料理ですが、ハイデラバードではふんだんなスパイス、ギーを加えて、さらに栄養満点にアレンジされています。

なお、ハイデラバード料理とは、ハイデラバード市内だけでなく、テランガーナの他の地方や、マハラシュートラ州のマラスワダ地方など、旧ハイデラバード藩王国の領土を含んだ料理のことを指すことがあります。

筆者
青木 ゆり子

e-food.jp代表、郷土料理研究家、コラムニスト、内閣官房「東京2020ホストタウン事業」食文化アドバイザー、NHKラジオ第1番組「ちきゅうラジオ」料理ナビゲーター、全日本司厨士協会会員 調理師、女子栄養大学認定・食生活指導士。

主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)、「しらべよう!世界の料理」全7巻(図書館選定図書・ポプラ社 2017)

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