グジャラート料理

グジャラート

良質な乳製品と甘味のある菜食料理

西インドのグジャラート州は、マハトマ・ガンディーの生まれ故郷。州都はアーメダバード。インド古来の「シンプルな生活」と「高い思考」を尊ぶ風土を持ち、それはグジャラート人の食生活にも如実に表れています。グジャラートには厳格な菜食主義を守るジャイナ教徒が多く暮らし、また伝統的なヒンドゥー教徒も多いため、菜食料理が発達した地域です。グジャラートは禁酒州でもあり、州法により、外国人であっても許可証がなければお酒を買うことができません。

↑おかずが盛りだくさんなグジャラート・ターリ ↑チャース(バターミルク)

しかしながら、グジャラートは、北インドのパンジャブ州と並ぶインドの穀倉地帯。特に酪農が盛んで、インドの乳製品の最大手でもあるグジャラート州酪農業協同組合(GCMMF)が販売するアムール Amulブランドをはじめ、高品質の乳製品で知られています。ジャイナ教も乳製品は動物を傷つけないとして食べることから、実はグジャラート料理は、肉・魚・卵、根菜のたまねぎやにんにくなど使えない食材がたくさんあるにもかかわらず、品数がバラエティ豊か。調理法にも工夫があり、おいしさはインド国内でも定評があります。それは、盛りだくさんな名物のグジャラート・ターリ(定食)で実感できるはずです。

グジャラート・ターリは、チャツネやサラダなどの前菜に始まり、サイドディッシュのファルサン、全粒粉を使った揚げパンのプーリ、豆や野菜のカレー各種、ひよこ豆粉と凝乳、スパイス入りスープのカディ、ヨーグルト、白いごはんに炊き込みご飯、スパイス入りバターミルク・ドリンクのチャース、デザートなどなどがてんこ盛りで、しかもおかわり自由。グジャラートの料理は、チーズや凝乳などの乳製品のほか、たまねぎの甘みを補うジャグリーというきび砂糖、またかくし味にドライフルーツ粉や豆粉などを使うため、味付けがマイルドに甘く、同時にスパイシーかつコク味があるのが特徴的です。

また、グジャラート州は内陸部のグジャラート地方のほか、パキスタンに国境を接したカッチ地方、アラビア海に面した半島のサウラシュートラ(カティヤワール)地方の大きく3つに分かれ、それぞれ風土に特色があります。

カッチ地方は、砂漠と、塩を含んだ湿地帯が広がる地域。インダス文明の遺跡が発掘される歴史ある土地でもあります。ヒンドゥー教徒が多く、他にジャイナ教徒、イスラム教徒も暮らしており、やはり菜食がメイン。カッチ地方の名物料理は、雑穀から作った平パンのロトラや、米と豆で作るキチュリなどです。

平地が広がり、領土のほぼ半分が海に面しているサウラシュートラ地方は、カッチ地方と同様にインダス文明の遺跡が発掘される地域。小麦粉またはひよこ豆の粉とバターで作ったドクラや、平パンのセプラ、さやいんげんとスパイスを合わせたバタナヌオーンディユなどが名物料理です。

筆者
青木 ゆり子

e-food.jp代表、郷土料理研究家、コラムニスト、内閣官房「東京2020ホストタウン事業」食文化アドバイザー、NHKラジオ第1番組「ちきゅうラジオ」料理ナビゲーター、全日本司厨士協会会員 調理師、女子栄養大学認定・食生活指導士。

主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)、「しらべよう!世界の料理」全7巻(図書館選定図書・ポプラ社 2017)

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