ビハール料理

ビハール

仏教とヒンドゥー教の菜食が伝統

東インドのビハール州は、古代に栄えたマガダ国があった地域で、釈迦ことゴータマ・ シッダッタが悟りを開いたブッダガヤがある、仏教生誕の地として有名です。現在も仏教関連の史跡が多くあり、州の中部にはガンジス川が流れています。2000年にはジャールカンド州がビハール州から分離しました。

そうした仏教や、ヒンドゥー教の非暴力の価値観に影響を受けて、ビハールの伝統料理には卵や魚、肉はなく、基本は菜食です。ただし、ガンジス川のほかにも河川が多いため、流域には魚料理を食べる人も。また鶏肉や羊肉を食べるノン・ベジの人もいます。乳製品は仏教、ヒンドゥー教ともタブーではないために種類も豊富。ダヒと呼ばれるヨーグルトや、バターオイルのギー、バターなどが1年を通して食べられています。また、ビハール料理は北インド料理に似た特色を持っていますが、東インドのベンガルの影響を受けて、マスタードオイルもよく使います。燻製のとうがらしを使った料理も特徴的。

代表的な料理は、ひよこ豆粉と小麦粉、スパイスを丸めてゆでるピッタ、スパイス入りのマッシュポテトのようなアルー・チョカ、小麦粉や雑穀粉、とうもろこし粉と牛乳、ドライフルーツを混ぜて作るサットゥ・ダリアなど。ケバブやキーマ、パラータといった北インド料理もポピュラーです。

ボジプリ料理

ビハール西部に住むボジプリ語を話し、お祭りや宗教儀式に誇りを持った農耕民族ボジプリ人の間では、スパイシーな料理がポピュラー。代表的な料理は、具入りの焼きまんじゅうのようなリッティ、ひよこ豆粉のパンダルプーリ、ひよこ豆のかき揚げのようなバブーラなどです。

なお、ボジプリ人は19世紀に労働者としてシンガポールや南米のガイアナ、スリナム、カリブのトリニダード・トバゴ、南太平洋のフィジー、アラビア海のモーリシャス等に渡り、現地には今でもボジプリ人のコミュニティがあります。

筆者
青木 ゆり子

e-food.jp代表、郷土料理研究家、コラムニスト、内閣官房「東京2020ホストタウン事業」食文化アドバイザー、NHKラジオ第1番組「ちきゅうラジオ」料理ナビゲーター、全日本司厨士協会会員 調理師、女子栄養大学認定・食生活指導士。

主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)、「しらべよう!世界の料理」全7巻(図書館選定図書・ポプラ社 2017)

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