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エトランゼな目で見た京都
(2002/2/27)

禅寺千年の都・京都は、食文化についてもとてもひとことでは語り尽くせません。「エスクァイア」誌2002年4月号の京都特集で入江敦彦氏も「京都は外国だ」と言い切っていたけれど、東国からの旅人の目には、日本の伝統的なものが凝縮されているこの町の独特さが、まるで異国のように見えるのでした。

私は京都に魅せられて、年に2回は通うようになりました。エトランゼ(異邦人)な目で京都の食文化
を見ると、また違う魅力が広がってくるようです。


琢磨の節分懐石●京懐石 
京料理はもともと、お茶席で出されていた茶懐石、宮中の公家料理、武家の饗宴料理、禅寺の精進料理の流れで発展したのだそうです。京懐石は、それらの"いいとこどり"を楽しめる料理かもしれません。

今回は、四季おりおりの京懐石を手頃な値段で食べさせてくれる京大近くの"琢磨"を訪れました。この日はたまたま節分で、前菜に、鬼をかたどったさつまいもと、大根で作った豆まきの箱などが登場(写真)。何と可愛らしく、しゃれていることかと感心しました。焼物の鰤の照り焼き、炊物の野菜の煮物、向(向こう)の刺身、天ぷら、椀物のごま汁...と、その後に次々と出てくる料理は京都らしい薄い甘口の味付けが多く、ひとつひとつがしみじみとおいしいのでした。カウンター越しの厨房も大将を囲んで何やら活気があって、楽しげでした。

精進料理●禅寺の精進料理
京都には、宿泊施設のあるお寺(宿坊)がたくさんあります。癒しの旅として京都らしさをより楽しむには、味気ない現代風なホテルよりも宿坊に泊まってみるとよいかもしれません。特に、禅宗系のお寺は食通にはおすすめ。禅寺といえば、精進料理です。野菜や麩を多用する中国伝来のこの仏教的な料理は、京料理に大きな影響を与えたといわれています。

洛西にある臨済宗のお寺群、妙心寺の中には、東林院というご住職手作りの精進料理で有名なお寺がありますが、今回泊まったのは、同じ妙心寺の大心院。こちらのお寺でも、朝食に精進料理がいただけます。おかずは毎日、変わるそうですが、この日は、半熟たまご、豆腐と菜っ葉の味噌汁、白菜の甘味噌和え、切干大根、沢庵でした。薄口の甘めで自然な味付けはいかにも健康的で、後を引くおいしさです。

ちなみに、食事をいただくに際しての"食事五観の偈(げ)"は以下の通り。

一つには、功の多少に計り、彼の来処を量る。
(この食物が食膳に運ばれるまでには、幾多の人々の労力と神仏の加護によることを思って感謝いたします)

二つには、己が徳行の全欠をはかって供に応ず。
(わたくし共の徳行の足らざるに、この食物を戴くことを過分に思います)

三つには、心を防ぎ、過貧等を離るるを宗とす。
(この食物にむかって貪る心、厭う心を起こしません)

四つには、正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが為なり。
(この食物は、天地の生命を宿す良薬と心得て戴きます)

五つには、道業を成せんが為に、将にこの食をうくべし。
(この食物は道業を成ぜんが為に戴くことを誓います)


禅寺で心洗われるのは、食のほか何に関しても無駄なものが何一つないことです。まさに、シンプル・イズ・ベスト。宿では外国人の宿泊者も見かけました。飽食の時代と呼ばれ、また、狂牛病や雪印の生産地偽造などに象徴される食物への不安がわれわれを取り巻いている今、上記のような禅の基本を振り返ってみる価値はありそうです。

●貴船の川床料理
和泉式部で有名な古刹、貴船神社のある貴船は、真夜中の奥宮で鉄輪の女(わら人形に五寸釘で呪いをかけるという)の話も伝えられていますが、日中はすがすがしく、そんなおどろおどろしい話など想像できません。夏ともなれば蒸し暑い街中から涼みにくるには格好の場所です。夏の貴船の名物といえば、川床の料理や流しそうめん。休日ともなればどのお店も超満員ですが、京の夏の風物詩を味わいに行ってみる価値はあります。料理はけっこう値段が張るので、雰囲気を味わうだけなら流しそうめんで十分でしょう。

●まんぼ焼き
まんぼ焼きは、薄く伸ばしたメリケン粉に刻んだ九条ねぎ、スジ肉、ホルモン、焼きそばなどを乗せて焼いたお好み焼きのような食べ物。"まんぼ"の由来はわかりません。京都駅に割と近い"山本まんぼ"というお店が有名で、関西のテレビなどでB級グルメとして時々、紹介されているそうです。まんぼ焼きミックスが1枚990円で、席は相席。店構えも決してきれいとはいえません。雅(みやび)、繊細といった一般の(特に関西以外の)旅行者が持つ京都のイメージとは違う、地元感覚の庶民の味といったところでしょうか。このような都市の奥深さは魅力的です。

当たり前なのだけど、京都は、貴族や僧侶ばかりが住んでいたわけではありませんものね。

●まるかぶり
節分の日にその年の恵方に向かって海苔巻を食べる"まるかぶり"という風習を、関東出身の私はよく知りませんでした(最近でこそすっかり定着しましたが...)。バレンタイン・デーのチョコレートのように関西の海苔屋さんのキャンペーンが功を奏して、近年広まったものだそうです。京都でもご多分にもれず、この日はあちこちのお寿司屋さんやスーパーで海苔巻をワゴンで販売していました。私も今年の恵方である北北西に向かって、"まるかぶり"をやってみました。何かいいことあるといいな。  by ゆ

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琢磨 京都市左京区百万遍西北角 吹上第一ビル1  http://homepage2.nifty.com/yubatora/takuma.htm 
右源太 京都市左京区鞍馬貴船町76 http://kyoto.kibune.or.jp/ugenta/ 
妙心寺大心院(宿坊) 京都市右京区花園妙心寺57
竹邑庵太郎敦盛(ちくゆうあんたろうあつもり) 京都市上京区椹木町通烏丸西入ル(楠小路内)
 (新橋店 東京都港区新橋3-15-6)



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