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ギリシャ|木曜は国旗弁当の日!


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オリンピック出場・世界約200ヶ国から毎週1国”国旗弁当”を紹介

今年はブラジルのリオデジャネイロでオリンピック/パラリンピックが行われます。そして次回2020年はいよいよ東京オリンピック/パラリンピックが開催。そこでe-food.jpでは、料理を楽しみながら出場国のことを知っていただこうと、2020年までの約4年がかりで、毎週木曜日にオリンピック出場・世界約200ヶ国から1国ずつ、その国の国旗と郷土料理をモチーフにした国旗のお弁当を紹介する新企画「木曜は国旗弁当の日!」をスタートします。

第1回リリースの今日は、日本の建国記念日。古くは紀元節と呼ばれていた、日本にとって大切な日です。”旗日”に欠かせない日本の国旗ですが、それをお弁当にした「日の丸弁当」は、日本が世界に誇る(笑)いわば国旗弁当の原点でもあります。

国旗弁当は、オリンピック開会式の入場順であるオリンピック発祥地ギリシャを先頭に、アルファベット順で登場の予定です(ラストは日本)。国旗は国家にとって神聖なもの。郷土料理のおかずレシピや食に関するエピソードとともに、各国への敬意と愛情がお伝えできたら幸いです。

というわけで、今回はギリシャの国旗弁当です。

ギリシャは栄えあるオリンピックの発祥地

オリンピックの開会式では、オリンピックの発祥地であるギリシャが先頭を行進する習わしがあります。現在でこそ経済的にとやかくいわれるギリシャですが、古代ギリシャ時代にはオリンピックを世界で初めて開催しただけでなく、数学、哲学、演劇などに秀で、その後はギリシャ正教を国教とする栄えあるビザンチン帝国(東ローマ帝国)を築き上げた、類い稀なる国家だったのです。

食文化に関しては、1453年から1830年まで、およそ400年近くも占領されたオスマントルコの影響を受けているのは間違いないでしょう。現在ギリシャでポピュラーな食べ物であるヨーグルトもフムス(ひよこ豆のペースト)もケバブ(ギリシャではスブラキ)もムサカも、もとをたどれば発祥はトルコや中東。しかし、「ギリシャ料理はトルコ料理に似ている」などと心の中で思っても、ギリシャ人に向かって決してそういってはいけません。

ビザンチン帝国への想い

実は先日、ギリシャに行ってきまして、ビザンチン帝国への募る思いをいまだに引きずっているギリシャの人々の気持ちに触れました。ギリシャとトルコは仲が悪い、くらいはもちろん聞いていましたけれど、当地でのギリシャ正教対イスラム教の確執は相当に根深いことを思い知った次第です。もちろん、それは国家がらみの確執であって、個人対個人の交流はまた別ですが…。

たとえば、ビザンチン帝国の帝都だったコンスタンティノポリス)現トルコのイスタンブール)のアヤソフィアは、もともとバチカンにあるカトリックの総本山サンピエトロ寺院に匹敵するギリシャ正教の総主教庁だったわけで、それをトルコ人によってモスクに変えられたのは、ギリシャ人にとって相当な心の痛手だったはず。

それに20世紀には、キプロスやクレタ島で、ギリシャ正教徒(ギリシャ人)とイスラム教徒(トルコ人)の「住民交換」が行われたりしました。住民交換なんて言葉は軽くて、実体はかなりひどい出来事です。

ギリシャ人のビザンチン帝国への想いといえば、アテネの空港の離発着ボードや、ギリシャの航空会社エーゲ航空の機内誌の地図などに、イスタンブールがいまだにギリシャ語で「コンスタンティノポリス Κωνσταντινούπολη」と表記されていて、思わず苦笑い..。

クレタ島では、今も教会にビザンチン帝国の国旗である「双頭の鷲の旗」がはためいていて、目が釘付けになりました。クレタ島のギリシャ正教会は、アヤソフィアを追われた後、今もなおイスタンブールに規模を縮小して残る、コンスタンティノポリス総主教庁が管轄しているのです。

おかずはムサカにギリシャヨーグルト、フェタチーズ、そしてオリーブ!

ムサカ・レシピgreece

さて、そんなギリシャの国旗弁当には、なすとひき肉の重ね焼きであるムサカや、日本でも販売されるようになった濃厚なぎりしゃヨーグルト、フェタチーズのサラダなどのおかずを使いました。主食は、クスクスにちょっと似た、古代ギリシャ時代から東地中海地方でポピュラーな「ひき割り小麦」のブルグルです。

そしてもちろん、ギリシャの特産物であるオリーブの実も!

このうちギリシャ発祥のフェタチーズ以外は、実はトルコをはじめ東地中海全域で食べられている料理です(あとでできた、トルコ産フェタチーズというのもあることはありますけど)。

ギリシャらしさは豚肉?

見かけは似ていても、トルコとの違いをアピールするためなのかどうなのか、ギリシャではムサカやスブラキなどの肉料理に豚肉をよく使います。何せ、イスラム教徒は、戒律により豚肉を絶対に食べませんから。

それは、レコンキスタ(キリスト教国によるイベリア半島の再征服活動)を成功させたスペイン人が、イスラム教徒への当てつけのように(笑)、イベリコ豚に代表されるような、おいしい豚肉に熱を上げたのと同じ心境なのかもしれません。

そんなわけで、ギリシャのお弁当には、区別をつけるためにも豚肉をぜひ。またギリシャ国旗の十字の部分は、まさにキリスト教の象徴でもあります。国旗弁当では、軽く素揚げしたナスで青色の十字を表現しています。

ところで、トルコではあまり見かけないギリシャならではの料理の代表格といえば、干しダラ(ギリシャ語では、日本人はドキッとする「バカヤロ」といいます)のフライ。干しダラは伝統的に遠洋中の保存食でもありますから、海洋国家ギリシャらしい食べ物といえそうです。

一方、離島であるクレタ島などには、ビザンチン時代からあったと思われる古い料理が今も残っていました。それはまた興味深い料理で、チャンスがあれば別の機会にぜひご紹介したいと思います。

ギリシャ国旗の解説

ギリシャ料理について詳細

profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、「世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー」館長。

2000年にサイト「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」を立ち上げ、以後、執筆、講師、レシピ開発、在日大使館や大使公邸でのシェフなどとして、食で日本と世界を相互につなぐ社会貢献をモットーに活動。
プロフィール詳細
著作:「しらべよう!世界の料理」全7巻(ポプラ社 2017)


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